Benesse Talkpad 断線修理

ベネッセ社製トークパット(Talkpad)の修理依頼を外来勤務しているおもちゃ病院で受けました。修理に関する共有情報がありましたので、共有の意味を込めまして記事を公開したいと思います。

当初の故障は、タッチペンの断線でケーブルを接続のよい曲げ具合の場所で使い続けていたが、ある日とどめを刺してしまったようで、完全に断線してしまったとのこと。そこで、持ち主の方が、断線したタッチペンをご自身で分解し修理に挑まれたようです。その作業の途中で、ペン先の基板に配線された6本の配線の内、4本が基板から取れてしまい、その状態でおもちゃ病院にお持ちになられました。おもちゃ病院の会場での限られた時間では、修理を完了できなかったので、自宅に持ち帰り作業にあたりました。

成形後の残り配線

6箇所の半田のうち4本の配線が、どこに付いていたか不明のため、修理は不可能に近い状態です。単純に順列の計算をすると、4×3×2×1=4! と24通りの並べ替えのうちのどれかなのでしょうが、ムヤミに接続すると回路を破壊してしまうので、ここは自身の経験を活かし以下のような段取りで解析しました。

  1. 基板のシルクから配線の情報を得る。
  2. 測定器で観測した信号から素性を探る。
  3. 最後は、運に任せる。

接続不明である配線は、4本で、赤、白、黄色、クリアである。恐らく、赤は電源であろうと推測できます。さて、基板を拡大鏡で観察すると、以下のシルクが確認できました。

基板のシルク(拡大)
  • Vcc = コレクタ電源(CMOSイメージセンサーなので、Vddというツッコミは置いときます。) → 赤配線
  • EN = イネーブル信号 → 緑配線
  • LK = LOCK(!?)信号 → 青配線
  • DAT = データ(1本なので、恐らくシリアル) → 白配線
  • NC = これは、ノンコネですね。 → クリア配線
  • GND = GND → 黄色配線(黒でない点は、黒配線のないケーブルを使ったらなのでしょうが、これは紛らわしいですね。)

VccとGNDは、基板裏面にある、電解コンデンサからも容易に推測できたので、早速ですが、テスターで各配線の動作中の電圧を計測しました。GNDは、本体のGND共通でしたので、すぐ黄色配線と判明しました。また、Vccも3.0Vの出力が電源の印加と同時に確認できました。案の定、赤配線です。さて、残るは、白とクリアです。もう推測できる情報がないので、過去の経験から、たぶん有色の配線は、有意な配線だろうと勝手に決めつけ、クリア(透明)の配線は、ノンコネとしました。ここは、運に任せました。

また、ペン先の根本が断線しているので、少し余裕をもってケーブルをカットし、そこで皮を剥き半田付けをしテストを試みました。

配線結線仕様

動作確認前にイメージセンサーが、正常に動いているかも確認しないとイケないので、DATラインをオシロで観測しました。

DATの待機時の信号
さいしょにタッチをタッチ時のDAT信号

タッチペンでさいしょにタッチという開所にタッチさせたDAT出力の反応は、問題なさそうですね。ですが、オシロ上の波形では、反応信号は、観測できたのですが、本体が無反応でした。やはり何か結線に問題があったのかと思いきや、ケーブルの途中を少し握ると何やら反応がありました。ケーブルの断線は、まだ先であったのでした。

青線の断線

しかし、この箇所は、特に稼働に激しい箇所でもないのですが、不自然に青線のみ断線しておりました。断線自体の原因は、不明で釈然をしませんが、作業を進めます。配線の長さが、合計約10cmは、短くなっているので、本体内部のケーブルを引き出し代わりにフラットケーブルを代替えしました。一応ですが、基板の設計やオシロ波形からも、信号の速度は、数kHzオーダーですので、まぁ信号品質をそれほど神経質に考えずに換装しました。

フラットケーブル換装

診療カルテも記載して作業完了です。