こえマネワンちゃんという、発声した声を真似て高い声で返してくれるぬいぐるみです。
基板自体の電子回路の故障は、基板換装で対応できます。こちらの記事で紹介をしております。
オウム返しの機能は、正常なのですが、それに伴った上下にゆれる震動動作が動かなくなったとのことで修理のご依頼です。
以前も同じようなお猿さんのぬいぐるみを修理しましたが、断線やモーター不良の線と推測し調査開始です。
ぬいぐるみ下部の結束バンドを外し内部の本体を取り外す際に難航しました。結束バンドは、消耗品としてカットしてしまえばいいのでしょうけど、下記理由から再利用したいためきれいに外そうと試みました。
この手のぬいぐるみの結束バンドは、結合部分が小さくバンドが長いタイプ(25cm)なので、入手性が悪いです。ご近所のホームセンターや100均の物で、25cmを探すと大体結合部分が大きすぎて縫いつけができないため、できればきれいに外しそのまま流用したいと思ったのですが、なんと!結合部分が接着されており、結局カットして外しました。
修理完了後の結束バンドの締め付けについては、結合部分の小さい短いバンドを3本連結し締め付けました。
さて、内部の状況はというと、 目視レベルでは、断線など不具合は見当たりませんでした。マイクにスピーカーに制御基板にポリスイッチとモーター振動のモジュールです。早速、発声テストを行いモーター側に電圧が印加されてるか確認します。
電圧の印加自体はされているようなのですが、モーターはうんともすんともですね。原因は、どうもモーター側のようです。分解し内部を確認すると、カーボンでびっしりでした。
実は、分解前にピニオンギアを手で回してみたのですが、大きな回転抵抗があったので、かなりあやしい状況でした。整理しまとめると、以下2点が主因のようです。
- モーターの回転に大きな抵抗が生じている。
- ブラシが焦げ片方の先が無くなって短くなっている。
モーターが回転しなくなった理由は、ブラシが短くなりコミテーターに接触できなくなったためなのでしょうが、そもそも焼損自体の原因も見えてきました。
緑のカバー部品ですが、シャフトを差し込む穴が、なぜか小さくそこで回転に大きな抵抗が出ていました。この抵抗は、指で回してもそこそこあるので、ブラシ→コミテータへ大きな電流が流れ熱となり焦げたという流れでしょう。ご依頼者さまからも故障する寸前に乾電池が異常に熱くなっていたと報告を受けていたので、つじつまが合います。
さて、修理方針です。 シャフトの穴は、ルーターにて研磨を行い穴サイズの拡張を行い抵抗を取り払います。 モーターは、筐体こそはマブチさんの130モーターに類似していますが、動作時の電流もトルクも異なっていますので、ブラシの交換で対応します。※手持ち130モーターでは、回転すらできなかったので、コイルが低電流、高トルク向けに設計されているのでしょう。
コミテータの清掃とブラシの交換ならびに接点グリスの付加で修理完了です。
と、ここまで書いておいて気づいたのですが、電池ボックスにポリスイッチ(650mA)が付いているのに、今回の過大電流における保護機能は、有効に働いてくれなかったみたいですね。モーターの起動電流を考えると、650mAも致し方ないような気もします。
この度は、大変お忙しい中、お世話になりまして、どうもありがとうございました。こんなに早く治して頂いて、無事戻って来て感謝いっぱいです。この子(こえマネワンちゃん)は、亡き愛犬の代わりに可愛がってたもので、家族も喜んでいます。
治療の際は、どこの部分がどうおかしいかったのかとか、親切、丁寧に書いて頂いたり、治った動画まで添付して頂きありがとうございました。ボランティアでこの様な素晴らしい活動をされているということで感銘を受けています。
これからも、お身体に気をつけて活動を続けて下さい。本当にありがとうございました。
~ご依頼者さまのご感想より~