すみっコぐらし パソコン 期限切れ修理不可能

すみっコぐらし パソコン

すみっコぐらし パソコン 期限切れ修理不可能

今回も、地域のおもちゃ病院で依頼のあった事案をご紹介します。

巷では、大人気らしいすみっコぐらしというキャラクターのパソコン型の玩具ですが、OSの入ったいわゆるコンピューターではなく、どちらかというと1チップマイコンで駆動するゲーム機という方が適切な気がします。

さて、ある日突然電源が入らなくなったそうです。電源から確認します。

恐らく1チップマイコン型ですので、液晶やキーボード、マウスなども1チップで完結するタイプかと思います。

電源基板

裏面を開封すると、キーボードのマトリクスシート横に電源基板が現れます。ケーブルにて、表面LCD裏のメイン基板と接続されております。

この電源基板は、キーボードの電源ボタンの押下にてメイン基板上のマイコンに電源を供給し起動に成功すると、電源ボタンを離しても電源を供給するという制御設計がなされております。電源基板上は、電源ボタン押下での電源供給がなされていることを確認するため、まずは、基板端の端子に電源が供給されるか確認します。

無事電源ボタン押下中は、電圧が上がっていることが確認できました。

さて次にメイン基板側を確認します。

LCD

メイン基板は、LCD側つまりキーボードと反対側の筐体に納めされております。留めネジは、シールの裏側にあるためシールを剥がさなくてなりません。

ご依頼者様にご承諾をいただきシールを剥がします。このシールは、かなり強力なので、温めて剥がしますが、のりが残ってしまいます。剥がしたシールは、後で綺麗に貼りなおしたいので、ガムテの裏側を利用して貼っておき大事に保管しておきます。ですが、剥がす際にやはりシワシワになってしまいました。

ネジ箇所

ネジを外すとメイン基板が現れます。

メイン基板には、メインの制御LSIとLCDドライバなどなど実装がされております。基板用を確認すると、まずチンチンに発熱しているICを見つけました。

破損IC

LCD用の電源ドライバとショットキーバリアダイオードです。キーボード上の電源ボタンの押下にてメイン基板側にも電源がそれぞれ供給されているのですが、LCDへ電源を昇圧して供給するためのドライバが以上加熱しており、それげ原因かどうかも不明ですが、整流用のショットキーバリアダイオードも破損しておりました。ですが、これはLCD用のICですので、メインの制御LSIとは、ほぼ無関係であることが判明しております。発熱は筐体を溶かす危険性もあるので、外しておきます。※一応、正常なICと交換してみましたが、改善は見られませんでした。

さて、制御LSIを調べます。発振器が2つついております。データシートも無いので、どのような目的のクリスタルなのでか不明ですが、電源ボタン押下においてもどちらも発振しておりません。

LSI

故障原因の大きな要因は、このLSIに正常に電源が供給されていないことは間違いなさそうです。ですが、多層基板で構成されており、基板端の電源端子が既に内層の電源用層に直結しているので、電源の経路調べる術が設計仕様書でもない限りできません。

他の修理作業もあり、時間を要していたのですが、ご依頼者様より修理がまだできていなくても返却して欲しいとの要請があったため、故障箇所の調査中でしたが、やむなく修理せず現状のままで返却となりました。ただし、LCDドライバICとショットキーバリアダイオードは、発熱の危険性もあるので、取り外しておきます。

はたらく トーマス プリント基板パターン剥がれ修理

はたらく トーマス プリント基板パターン剥がれ修理

外来にて勤務しております、地域のおもちゃ病院でご依頼のあったはたらく トーマス プリント基板パターン剥がれを修理しました。

3つの押しボタンにて異なるおしゃべりやメロディがなるおもちゃですが、押しボタンを押しても鳴らなくなってしまったそうです。

調べてみると内蔵のプリント基板の電源の導線が半田付けされている箇所のランドが剥がれてしまったのが原因なのですが、途中不可思議な現象に遭遇したので、ご紹介します。

まず、本体開封後にプリント基板端まで電源が来ているかを確認し正常な電圧が上がっていることを確認しました。ですが、押しボタンを押しても音が鳴りません。

ん?ん?(。´・ω・)ん?

と悩みに悩んで、こういう場合はプリント基板を眺めるのが一番なのですが、眺めていると原因が分かりました。

プリント基板

電源の+側のリード線ががプリント基板端にある電源用のランドに半田付けされているのですが、リード線の負荷がかかったらしくパカパカと剥がれていました。

さて、このランドの剥がれが原因と結論づけましたが、実は開封時に電源にマルチメーターをあてて電圧を測っています。この時は正常な電圧値をさしていました。

あれ?ランドが剥がれていたのに電圧は正常って?変ですよね?

実は、ランドは剥がれていましたが、マルチメーターで測っていたのは、リード線上の半田部分なので、これではパターン剥がれか気が付きません。

さて、パターン剥がれによってCOB内のマイコンが起動できなくなっていると予想し剥がれたランドは取り去り電源を別の箇所からCOBに供給させます。また、画像からも分かるように、電源-GND間には、チップパスコンとリードの電解コンがついていいます。

ランド剥がれが原因かどうかを確認するため、半田付け前に指でパスコンランドに電源のリード線と電解コンの+を押し当ててボタンを押してみると、メロディが鳴りました。やはりランド剥がれが原因だったようですね。

ということで、画像のようにチップパスコンのランドに電源のリード線と電解コンのリードをまとめて半田付けします。ですが、押しボタンを押しても鳴りません。 ̄▽ ̄;

なんでだ?

もう一回半田付けを取り払い、指で押し当ててボタンを押すと、なんと!鳴ります!

指で押し当てると鳴るが半田付けすると鳴らないなんて、どういうことだ?

私の指は、神の指なのかもしれません。なんて。。。

この原因は直ぐ判明せず、地域のおもちゃ病院会場から持ち帰りで引き続き解析しました。

剥がれたランド付近を拡大鏡で確認すると原因がすぐわかりました。

2系統の電源経路

剥がれたランドは、COB側のみに供給されているとおもいきや、プリント基板上のシルクにも騙されたのですが、押しボタン側にもつながってしました。画像緑枠のところです。

指で押し付けた際は、運よく電源側にも押しボタン側にも押し付けられておりボタンを押すと音が鳴ったわけで、それをしらずに電源側のみに半田付けしてもCOBは起動しますが、ボタンへの反応はしないというメカニズムでした。チャンチャン♪

私の指は、神の指ではありませんでした。

さて、そうすると2系統に配線を復旧しないといけないので、プリント基板のレジストを剥がしリード線でプリッジさせて最後に電源のリード線を接続します。

ブリッジ半田

電解コンも半田付けしないといけませんので、カプトンテープで絶縁をしておきます。

今回は、プリント基板のランド剥がれによる故障でしたが、基板上のシルクにて断線経路がわからなかった事案をご紹介しました。

余談ですが、顔のついたプラレールや電車を全部トーマスと呼んでいたのですが、トーマスは一体だけで、それぞれ違う名前があるそうです。お子様からのご指摘をうけました。


くすぐり エルモ 軸可動レバー 修理

くすぐり エルモ 軸可動レバー 修理

今月は、外来勤務の地域のおもちゃ病院で2体のくすぐりエルモも修理を行った。1体目は、先日の記事のこちらのエルモになります。無事、修理完了しました。

今回の記事は、2体目のエルモの修理内容のご紹介となりますが、1体目とバージョンが異なります。外見は、パイル生地のぬいぐるみに覆われておりますが、開封すると筐体の色の違いに気づきます。

1体目:白筐体・・・白エルモ

白エルモ

2体目:黒筐体・・・黒エルモ

黒エルモ

白エルモは、ネットでの修理内容記事が多く、ピニオンギアの割れが原因での動作不良が不具合の多くを占めます。恐らく白エルモが、製造時期としては先のバージョンと思われます。

黒エルモは、先の白エルモの不具合の改良がなされており、ピニオンギアの割れの修理記事も検索ではヒットしないほどになっております。

さて、今回はこの黒エルモの修理内容のご紹介となります。

故障の状況は、笑い転げる際に頭をもたげる動作の際に本来は、その反動で尻餅をつくのですが、反動の勢いが低下してため、尻餅をつけずに頭をもたげたまま笑ってしまうという現象です。

実は、当初お預かりした際に、この状況をお聞きする前に動作確認をしたのですが、違った不具合も出ておりました。動きが緩慢で特に途中でモーターがウィーンと鳴り止まってしまいます。白エルモのようなギア割れと似た現象でしたので、白エルモ同様にピニオンギアの割れと推測し作業に開始しました。

開封

白エルモ同様に背中の縫い目から開封します。すると、知らない場合は、少し驚くかもしれませんが、黒色の筐体が見えます。

内部

本体内部を確認すると、電子基板や機構部分が見えますが、明らかに白エルモより改良がくわえられております。

  • 制御基板は、青色のレジストになっており、COBは子基板構成になっております。恐らくですが、言語エリア毎に組み替えられ出荷されているのだろうと推測しました。
  • モーターにノーマル/コモンモード用のノイズフィルター基板が付いています。白エルモは、ノーマルモード用のセラミックコンデンサーのみが端子間にあるだけでしたが、黒エルモは、ノーマルモード用のセラミックコンデンサーと各端子にコモンモード用のインダクターがそれぞれノイズフィルターとして取り付けてあります。EMC対策などのご経験があれば、直ぐ分かりますが、回路仕様については、村田製作所様のこちらが参考になります。
  • 姿勢センサーが胴体の中心部に移動接地されております。
  • あと、なぜか股関節の左足が外れませんでした。いろいろ調べて頑張ったのですが、外せませんでした。仕様なのか不明です。
フィルター基板
姿勢センサーとノイズフィルター基板

さて、肝心の不具合の調査をします。まず、白エルモ同様にモーターのピニオンギアが割れていないかと確認します。

腕用モーター
足用モーター

どちらのモーターもピニオンギアの割れはありませんでした。というか、ギアボックスが改良されているようで、容易にギア割れが起きづらくなっているようにも見えました。

ということで、黒エルモについては、他の要因による故障となりますので、詳しく調査します。

修理の経験があれば、分かるかもしれませんが、ぬいぐるみの皮が付いたままでは解析が困難です。そこで、両脚先の電池ボックスを取り外しぬいぐるみを完全に脱がせます。顎のボタンも取り外します。

黒エルモ

何か、カッコイイ感じになりましたね。

腕はそのまま

稼働する右腕もぬいぐるみの皮から外さないといけません。腕は、ネジで軸に固定されておりますので、一部を切り開きネジと緩め腕を取り外します。

腕のネジ

ここで、再度動作確認をします。やはり、お辞儀をするあたりでギア噛みのような止まる現象があります。動かしながら、各所の起動動作を目視確認すると原因が分かりました。

青レバー

画像の青色のレバー状の部品が引っ掛かっており、モーターがウィーンと鳴っておりました。

このレバーは、尻餅をつく際にちょうどお尻の下にある軸の稼働を制御するレバーでした。

エルモの動作を解析すると、かならず、腕が上がっていないと、尻餅が付けない仕様となっており、腕があがっていることを検知し、尻餅動作を制御しておりました。

この可動レバーの腕の軸が、本来であれば、スムーズに上下に稼働し連動して足の稼働を制御するはずですが、プラスチックの経年の劣化のためでしょうか、微妙に湾曲したのか、どきどき滑りが悪くなり上下できなくなっておりました。画像のとおり、腕側の軸にグリスを付加しかつ足側の軸にもグリスを十分につけておきました。

無事スムーズな動きが復活しました。

白エルモ同様に開いた背中を縫いあわせて修理完了です。


くすぐり エルモ ギヤ割れ交換 電池ボックス電極 修理

くすぐりエルモ

くすぐり エルモ ギヤ割れ交換 電池ボックス電極 修理

外来で勤務をしている地域のおもちゃ病院にて、エルモ 2体の修理を受け持ちました。今回は、その内の1体のエルモの修理についてご紹介をしたいと思います。

まず、このくすぐりエルモとは、顎、お腹、左足首のスイッチを押すと、笑い転げてくれる、とても楽しいぬいぐるみです。たぶん、かなり有名なので、動作については詳しい説明は不要かと思います。

さて、ご依頼の内容は、笑い転げる動きが変ということです。

通常は、いづれかのボタンを押下すると、左腕を上下に振り笑い始め、次に尻餅をついて、両足をバタバタ笑い転げて最後に起き上がるのですが、動きが緩慢で動作の途中で止まることもあります。モーターが空回りしている、ウィーンという回転音はするものの、ぬいぐるみの動きは止まったままという感じです。

やはり一時期、商品がバカ売れしたおかげでインターネットには、修理記事が沢山掲載があります。特に、この点の動きが変という事案では、ピニオンギアの割れが原因の殆どのようです。

さて、前振りはこのぐらいで診察開始です。

切り開き

まず、背中の縫い合わせに沿って切り開きます。ですが、赤いパイル生地に赤い糸で縫い合わせているので、糸が非常に分かりずらいです。間違ってパイル生地の布地側を切り開いてしまわないように注意が必要です。また、舶来品なので、縫い合わせの品質も少しテキトーな感もありますので、糸は綺麗に外そうとせず、バシバシカットして開いた方が早いです。

また、首を結束バンドで固定しておりますが、300mm長のバンドで間に合いますので、綺麗に外さずにカットして交換した方が早いです。

開封

では、ピニオンギアの所在ですが、腕用のモーターは、画像に移っている上側のモーターで両足用のモーターは下部のモーターとなります。早速確認します。

腕駆動モーター
腕側モーターのピニオンギア

腕側のモーターに付いてあるピニオンギアですが、画像はピンぼけですが、縦割れを起こしておりました。

8T m0.6 1.9

このピニオンギアは、8Tの穴径が、Φ1.9mmでmは、0.6となります。

次に両足を駆動するモーターのピニオンギアを確認します。両足のギアボックスのカバーを開ける必要があるのですが、スプリングの付いていない左足側を外す必要があります。

股関節固定のネジ

股関節固定用のネジ2本とその下に両足同期用のシャフトのボール受けがあるので、それも外します。

電極

ここで、重要な部品が現れます。両足が、今どの角度の位置にあるかという位置を認識するため、円形の電極基板があります。その基板のランドと接触してランド間の導通をする、画像の電極とバネパーツが出てきます。大事な部品なので、破損や紛失などしないようにします。

接触導通状況

さていよいよギアボックスの開封です。止めネジを外すとピニオンギアが現れます。やはり割れを起こしておりました。

両足駆動モーターのピニオンギア

ですが、このピニオンギアは、特殊規格となり入手できません。8T 穴径Φ1.9mm m=0.6ではあるのですが、ギアの長さが、10mm必要です。

他のドクター様のおかれては、割れた部分をワイヤーで巻いて固定したりと皆様ご苦労をされて居られる記事を拝見しました。ですが、私は、時代の利器を活用させていただきました。

3Dプリンター♪※ドラえもん風

日本おもちゃ病院協会では、3Dプリンターにて該当ギアを製作されたドクター様が居られそのギアを配布使用させていただきました。

タフレジン製ギア

穴径

修理実績のあるギアを配布いただいたのですが、本案件のモーターのシャフトは、少し細いせいか、付加がかかる場面で空回りを起こすことがありました。そこで、エポキシ接着剤を併用し接着固定を行います。

接着固定

2点のピニオンギアの交換で無事にエルモは動作するようになりました。

ですが、電池ボックスに正極の接触不良のような不具合もありました。挿入した電池にもよるのでしょうが、正極の電極が曲がってしまい、出っ張りに届かない電極なので、曲げを戻します。

正極電極の曲がり

以上、縫い合わせを元に戻し、修理完了となります。

縫い合わせ

補足ですが、規格違いのネジが多く、分解時に場所と本数は、よくよく注意した方がいいです。