アンパンマン ワクワク クレーンゲーム LED電飾とモーター修理
今回は、地域のおもちゃ病院で外来診療した修理案件となります。
NEWじゃない旧式のアンパンマン クレーンゲームで筐体が赤となります。製造のデートコードは、2013年を挿していました。新型は、緑色のクレーンゲームですが、既にそのマイナーチェンジ版も発売されているようです。
旧式のクレーンゲームの特徴は、前面のパネルにLEDの電飾があるのと、天井にカプセルを入れることのできる煙突があります。クレーンゲームとしての機能としては、ほぼ同じなのですが、カプセルをキャチできない時は、残念のファンファーレは鳴らず、そのまま静かに時間切れになるだけでした。
さて、今回の故障の症状は、パケットの上下がしないのと、クレーンの移動も横移動ができないそうです。
ですが、持ち込まれた時の動作確認では、旦那さんがデモをした際は、横移動はできていたのですが、奥様がデモをされた際は、前後移動のみという、不安定な故障でした。
うーん、不安定となると、また厄介ですな。
当日中の作業完了は、難しかったので入院持ち帰りで解析をしました。
解析をすると、横移動ボタンを押すと、移動しようとビクッともせず、ボタンの押下と同時にボタンから手が離されたように押下解除されてしまいます。
また、パケットの上下もウィーンと音はしていたので、指で鎖を持ち上げたりしてみると、今度は動き出しました。
と、そうこういろいろいじっていると、今度は全てのモーターが動きだしてきました。
モーターのグリスの固着か何かかなぁ?
と、ふと前面パネルのLEDが半分点灯していないことに気づきました。
おやおや半分しか点灯しないですね。
分解ついでにLEDの基板を眺めると、消えはじめている箇所のLEDに修理痕がありますね。
プリント基板のパターンが剥がれていてLEDの片方の足で再半田されています。
と詳しくみてみると原因は判明しました。
LEDのカソード側が剥離していました。で、剥離した箇所でカーソードとの導通はもちろんですが、パターン配線も断線してしまっていたので、このLED以降のカソードには、接続されていないため、点灯しないことになっていたわけでした。
お子様がこのLEDを指で押してしまったのでしょうかね。
さて、プリント基板のパターンが剥離してしまっているので、お隣同士のカソードをブリッジで接続します。でさっそく、余ってカットしたリードの足が沢山あるのでそれでブリッジをしました。
こんな感じでブリッジさせたのですが、このブリッジの方法ではダメでした。
というのもこのプリント基板は、天井の筐体にすっぽり密着して挿入することになり、LED間に抑えの支柱があるので、リード線をブリッジさせると、支柱に干渉して基板が入らなくなります。そこで、ブリッジのリード線を基板側面に移動して接続するようにしました。※画像がなくてすんません。
無事LEDは全て点灯するようになりました。
さて、回り道をしましたが、クレーンの移動故障に戻ります。
いろいろ調べていて動くようになってしまったのですが、モーターのグリスの劣化が原因の有力候補です。
特に、長期間保管した際、よくモーターが動かないことがあるのですが、軸を回してあげると動き出した経験ありませんか?→おもちゃドクター各位
ということで、横、前後、上下移動用のモーターを外しコミテータとブラシの状態を確認します。
既に若干動き出しているのですが、たっぷり塗られたグリスがコミテータとブラシの間に入り込んで導通不良を起こしていそうですね。
この古くなったグリスをパーツクリーナーで綺麗に洗浄しタミヤのブラシ用グリスと塗布します。
これで仮組し動作を再度確認すると、あっと驚くような快適な回転と反応になりました。
当初は、何かもさっとしていたのですが、機敏に反応し快適になりました。
さて、モーター分解のコミテータを見ると、ほぼ新品なので、使用せず長期保管をしていて、あらためて使おうとしたら動きが変という感じだったのだと思います。
ブラシの擦れ溝の欠片もないです。
クレーンの動きがもっさりとしていたり、不安定だった場合は、モーターのグリスの劣化を疑ってみてください。※もちろんですが、乾電池の容量はいの一番に確認してくださいね。