アンパンマン おしゃべりいっぱいことばずかん SuperDX スピーカー断線修理
外来勤務している地域のおもちゃ病院で担当しました。
依頼者の方は、同じSuperDXのおしゃべりいっぱいことばずかんをお持ちだったのですが、タッチペンが故障してしまい同じことばずかん一式を購入されたそうです。
おもちゃ病院で修理できるかもと故障した方のタッチペンと絵本を持参されました。
で、肝心の故障の症状は、タッチペンが絵柄に反応しなくなったそうです。
で、そのまま絵柄に反応しないという事態だけでなく、ちょうどスリープからの起動時に押すボタンの位置にテープを貼ると絵柄に反応したりすると、ちょー重要な症状もいっしょにご提供いただきました。
こういう情報は、とても、とても、とても重要です。
修理可否を大きく左右します。
が!
当日おもちゃ病院の会場に持参されたのですが、会場での動作確認では問題なく絵柄に反応しだしたのです。
おもちゃ病院あるあるですね。
ご自宅では問題あったのですが、会場に持参すると問題なく動きだしたりします。
ですが、こういう不安定が挙動って故障解析がとってもたいへんなんですよね。
故障解析をする場合は、故障の症状が起きていないと解析のしようがないのです。
最悪、故障の症状が出るまで永遠動作確認をする事態になります。
正直、おもちゃ病院は、メーカー様の故障解析センターではないので、このような対応は不可能です。
毎日のように絵本に向き合い起動するか、絵柄に反応するかを確認するというのは、区切りをあらかじめ切っておかないと、故障症状がでるまで、年中拘束される事態になります。
ということで、入院扱いにて来月の診療日まで確認頻度はこちらの任意をして動作確認を行い問題が出た場合は、故障解析を、出なかった場合はそのままお返しするということで合意してお預かりしました。
前置きが長くなりましたが、持ち帰り入院扱いで早速故障解析をします。
会場の動作同様に問題なく稼働します。
このままで迷宮入りしますが、前述の通り、不具合時の重要な情報をお聞きしていました。
『ちょうどスリープからの起動時に押すボタンの位置にテープを貼ると絵柄に反応したりする』
これ、ちょう重要でした。
というのは、何かの接触不要の懸念があるからです。
ご自宅では何か接触不良は起きその接触不良で問題が起きていた。しかし、おもちゃ病院の会場まで持参した際にその接触不良が解消されていたように推測しました。
まさしくビンゴでした。
表面のカバーを外すと、まったく反応しなくなりました。
不安定な不具合に留めをさして故障症状を常時発現させることに成功しました。
これは、不安定な故障の修理をするうえでとても重要です。
ところで、このSuperDXのタッチペンですが、マイナーチェンジ前のバージョンでイメージセンサーモジュールとはコネクタで接続されております。
で、基板をむき出しにした状態では絵柄に反応しません。
というか、起動時に声も出ません。
プッシュスイッチの当たりを指で触れると音が出ます。
なるほど、おもちゃ病院の会場で問題なかったのは、カバーをした状態で恐らく主様が握られた影響で基板のスイッチ当たりが湾曲したのだと思います。
ですが、このプッシュスイッチってスリープから起動用なのでスイッチ自体の問題の可能性は低そうです。念のため故障解析のためプッシュスイッチを外しておきます。
もちろんですが、プッシュスイッチを外しても音はでません。
解析のため、どこか問題なのかを調べるため周辺も目視解析します。
横にあるNOR Flashに触れても音がでるようになります。
んんん?
どこ振れても音が出るって変です。
とここで、音が出ないってもしかすると、スピーカーの断線じゃない?と感じました。
実は既にスピーカーの導線は目視チェックしていました。
ほら、一見問題無さそうでしょう。
でもね、
カツカツで接触してだけでした!
カツカツで接触していたので、プッシュスイッチの基板の中央を押して湾曲させると離れていた半田の盛り上がりと導線の芯線が接触していたという故障現象でした。
主様は、スピーカーから音が出ない=絵柄に反応しない=故障という流れで認識されて居られました。
まぁ、仕方ないですね。
アンパンマンのおしゃべりいっぱいことばずかんシリーズでは、
起動時の起動音が流れるが絵柄に反応しない=画像認識に問題あり
起動時の起動音も絵柄にも反応しない=スピーカーに問題あり
という初期的な診断をお勧めします。
導線を剥き直し再半田付けして修理完了です。