ファービー4体とファービー2の修理のご依頼がありました。
ファービー2については、当院の修理をお断りするおもちゃとしております。理由は、こちらを参照いただきたいのですが、使用されている様態の素材が経年劣化し分解が困難であるてんと分解できても元に戻すことが困難になる可能性が高いためです。
今回は、有料作業である点と作業に際し修理不可能(例えボロボロの状態で返送することになっても)であっても修理費用をご負担をいただくことを前提に特別に引き受けることにしました。
では、1体目のベージュのファービーです。
ベージュファービー
このベージュのファービーは、以前同じ方から、全く動かないということで修理の依頼を受けたことがありました。こちらの記事で紹介しております。
依頼者様のもとではうんともすんともとのことだったのですが、当医院に届いた状態では問題なく稼働しました。当初は、おもちゃ修理あるある事例として紹介しておりましたが、お腹と背中のスイッチに反応しないということで再度の依頼でした。
届いた状態で再度動作確認をしたのですが、問題なく稼働してしまいました。
オカシイなと思い状況をお知らせしたのですが、実はセンサー類が効かないというのは、どうも寝起き中の動作の最中だったようでした。
というのも、以前ファービーを修理した経験があった際に挙動不明な点がありました。
リセットスイッチの押下もしくは乾電池の入れ替え直後かならず『うぅー、うぅー、うぅー』と言いながら眠ってしまいます。これを寝起きを読んでいるのですが、取り扱い説明書には、この挙動については一切説明がないのです。
この寝起きの最中は、どうも振動と傾斜センサーのみが有効となっており、その他のセンサーは無効になっているのです。
依頼者様は、この寝起き最中にお腹や背中を触っても反応していないということだったようです。
ですが、この寝起きが悪い状態が異常なのか正常なのか、前々から分からずにいたのです。
というのも、修理経験の個体数が少なくはっきりと断言できておりませんでした。
今回は複数台のファービーの依頼があり、その共通性も確認できたのですが、この寝起きの動作はいづれもファービーにも確認されました。
従いまして、リセットボタンの押下もしくは乾電池入れ替え直後は、また直ぐ眠ってしまいます。そこで再度起こさないとイケません。しかも、一回では起きません。
個体差でこの寝起きの悪いファービーを繰り返し起こさないとイケません。
因みに、このベージュのファービーは、4,5回繰り返し起こさないとダメでした。
完全においてくれると以下のように各種のセンサーに反応してくれます。
依頼者様にこの点をお伝えし今回もベージュファービーは、現状のままでお返しすることになりました。
因みに、今回のご依頼は、各ファービーのぬいぐるみはお洗濯のため脱がされた状態で届いましたので、ぬいぐるみの被せと耳の縫い固定と底面の固定はしておきます。
では、次の白ファービーを診断します。
白ファービー
こちらの白ファービーは、まったくの不動品とのことです。
到着して直ぐの動作確認でもうんともすんともです。
電池ボックスも液漏れによる腐食もなく綺麗です。
では、開封して本体内部を確認します。
ファービーの基板は、主基板に子基板が2枚ささっております。この子基板の1枚にクリスタルが実装されております。
主制御は、このクリスタルが付いている子基板で制御しているようです。
ですが、このクリスタルの発振が変です。
3.58MHzのセラミック発振子ですが、数kHzで発振しております。
なんかおかしい波形です。
どちらにしても、発振だけでも正常にしないと何の解析もスタートできませんので、取り外して交換してみます。
といっても、そんな都合よく同じ発振子の手持ちなんかありません。
以前、ファービーの修理で修理不可能になった部品取り用のファービーが1台あります。そのファービーの子基板から発振子の移殖を試みます。
基板から故障発振子の除去に失敗し破損させてしまいました。まぁ故障発振子なのでこれは仕方なしとします。実は、とても脆く破損してしまったので、この脆さが故障の要因であったかもしれません。
で移殖用の発振子は、破損しないようい慎重に取り外し移殖します。
次に子基板を主基板の半田付け部もクラックも懸念されたので、接続部の半田も溶かしなおしします。
無事交換できここでやっと発振も正常にするようになりました。
ですが、まだファービーは起動しません。
振動センサーのコロコロも音がなっており、導通も問題ありません。
と、モーターに目が行きます。
長期保管でブラシのグリスが固着しているかもとふと思いモーターの回転しを外部から回してあげました。
すると、徐々にですが、回転し出し最後には無事ファービーも動き出しました。
なるほど、起動制御でモーターを回転させ、回転位置の検出で次の動作を制御しているようです。
なので、各センサーが反応したとしても、モーターにてギアを回転させ位置検出の接点が接触しないと運ともすんともだったようです。
とても勉強になりました。
ファービーがうんともすんともの場合は、まずモーターの回転を疑い、ブラシのグリス部に接点復活剤かグリススプレーを拭いてあげることが、まず必要ということになります。
今回の白ファービーは、子基板の発振子を疑いましたが、モーターの固着で電位が極端に下がっていたために発振子の発振周波数も異常値を示していたのかもしれません。
発振子の交換後となってしまっては、何が問題だったのか調べようがないので、次回からはまずは、モーターの固着チェックを調べることとしたいと思います。
虹色ファービー
虹色ファービーも白ファービー同様に不動とのことです。
白ファービーでの経験もあるので、真っ先にモーターのグリス固着を疑い外からくるくる回転させてあげると可動し始めました。やはり、ブラシのグリスが固着した原因で過電流による電圧降下にて動作不良が起きていたようです。
グリスを吹き付けてあげると勢いよく回り出し正常動作し始めました。
このファービーで気付いたのですが、ぬいぐるみを筐体のセットが違っていたのかもしれないという点がありました。
顔面の目の位置横にあるネジ止めの位置が全く違っておりネジ止めできません。
依頼者様に状況を説明したところ、はじめからネジ止めされていなかったようです。ネジ穴もネジ締められていたような形跡もなくきれいなので、ネジ止めせずに組み立てます。
ギズモファービー
ファービーシリーズには、なんとギズモと言われる、映画グレムリンのキャラクターもあるんですね。
依頼者様のところで、勢いよく動くが各センサーに無反応であるとのことでした。
当医院に到着時に動作確認をしてのですが、問題なく動作しておりました。おや!?
その旨お知らせをすると、依頼者様で撮影した異常動作の動画を拝見できました。
完全に暴走状態のようです。
ファービーの取り扱い説明書には、そのような場合は再起動をしてくださいとあります。
この再起動は、初期化と同じなので再起動をしてしまうとそれまで育った状態もリセットされてしまいます。
恐れく、宅配便で届くまでの間に完全リセットされてしまったのかもしれません。
2日間程、再度暴走状態にならないか経過観察をしたのですが、再発もなく稼働しましたので、現状のままでお返しすることになりました。
ファービー2
受け付けの条件付きにて受け付けをしましたファービー2です。
電池ボックスの蓋が壊れており他の蓋に交換してみても動作しないとのことでした。
今回は、くちばしの交換もということで交換用のくちばしも同封をいただきました。
ただ、このファービー2は、経年劣化で筐体のプラスチックがとても脆くなるので、ネジを緩めるだけでボロボロ割れてしまいという代物です。
では、慎重に診断しましょう。
錆びて電極のバネが取れていますね。
イヤな予感がします。電池ボックスの蓋が破損とはお聞きしていたのですが、これはどうみても液漏れによる腐食ですよね。※負極側のバネが取れてるし。。。
電池ボックスをのぞき込むと何やら過去に液漏れがしたのかもしれない気配もします。
どちらにしてもまずは、この電池ボックスの蓋を修理してしまいます。
これは単純な単三乾電池用の渡り電極なので、手持ちの電極を加工して取り付けます。
じゃん!
完璧!
もう完璧すぎてこれでもう満足していました。
で、次はこの蓋を使って動作確認を一応しますが、やはりうんともすんともでした。
では、ファービー2のぬいぐるみを取ります。
過去に1度作業の経験があるのですが、足が割れるんですよね。。。
この三角穴の特殊ネジです。
回すだけでネジの支柱は割れるんです。
やっぱり、、、。
もうボロボロです。
ネットでこの支柱の補修にプラリペアで補修できるようなことがあるようですが、支柱の補修にプラリペア!?
なんのこっちゃ?
接着剤代わりにプラリペアを使えと?
何か間違いですよね。
プラリペアは造型剤なので、支柱を型取りして造れとでもいうのでしょうかね。。。
100歩譲って支柱を型取りしてできたとしても土台側が脆くて割れているのにどうやって固定するのでしょうかね。。。不思議です。
この割れた足は、この時点でどうやって補修するか決めていなかったのですが、最終的には、弾性のエポキシ系接着剤でネジ含め丸ごと固めて固定しました。
だれか3Dプリンターでこの足部品を作って売ってもいいかもしれません。
さて、割れた足は横に置いといてぬいぐるみを外します。
背中の縫い目の意図をリッパー切り開きます。
うまく開いたら、ぬいぐるみを本体に固定しているナイロン製のツメを外します。
このツメ外し、前もたいへんで以前は力ずくで引っこ抜いたので破損してしまいました。今回は、その教訓からうまく外せるように努力します。
やっぱりツメがボロボロになってしまいました。
うまく浮かせてずらしながら外します。
うまく外せました。
下部のツメと接着されている箇所を剥がすとめくれるようになります。
こめかみあたりにネジ止めがあるのでネジを外します。
こめかみのネジ外して目の周りの支柱を抜くとカパッと取れます。
で、まだぬいぐるみは取れません。
おでこにある光センサーの受光部とトサカの先の縫い付けを外すとやっとぬいぐるみを完全に脱がすことができます。
おでこのセンサーの縫い付け外し。
トサカの先の縫い付け外し。
※って、ファービー2は、鳥系だったんだっけ!?
これにてやっとぬいぐるみが取り外せました。
既に見えていますが、お腹センサーのスイッチがボロボロです。
想定内ですが、やはりボロボロに破損しています。
スピーカーの真上にお腹スイッチがあるので、スピーカーに干渉しないようにこのスイッチを補修しなければなりません。以前は、銅板で土台を作成したので、今回もその手で補修しようと思っておりました。
次に稼働しない原因解析のため本体を開封します。
ここも難関です。
ネジがきつく締められているので回した時に、バキッと音がしてネジ受けが割れます。
恐る恐る回します。
今回は無事に割らずにネジを外せました。💦
ただ、腰受けの一部を割ってしまいました。
ほんと割れやすいんですよね。。。
で、故障原因の一つが直ぐ分かりました。
電池ボックスの断線。
先の電池ボックスの蓋の腐食で懸念された液漏れ腐食が本体内部に広がっております。
腐食が導線を伝わっております。
導線も真っ黒。
基板側も恐らくやられていますよね、、、。
GND導線の接続されている基板のGND面が丸ごと腐食してしまっております。
くちばしセンサーの導線も脆くも外れています。
基板は、両面のプリント基板でこの裏側のGND面も腐食してGND配線パターンもめくれ上がって断線しております。
液漏れによる最悪の結果になっておりました。
この時点で修理の見込みはほぼなくなりました。
試しに、GNDパッドをできる範囲で綺麗にしました。表面のレジストとシルクも全てめくれました。残ったGND面を出し電池ボックスの腐食電極を研摩し導線も全て交換して接続してみます。
再配線します。
すると!
なんと!
発声しだしました!
モーターは動きませんが。
基板裏面の断線した回路が、恐らくモータードライバ関係の回路のGNDだったのかもしれません。
基板を外し裏面も綺麗にし断線した配線を再構築できればモーターの動きも復活できるかもしれません。
とここで、状況をまとめ依頼者様に見積もりの件で相談しました。
ここまでの工数と基板の補修工数などを考慮すると、修理可否もまだわからない状況で高額が費用を請求する事態になります。
見込み工数からざっくり費用を見積もっても数万円というレベルをお伝えすると、ここまでの修理作業で断念されるということになりました。
立位で今後飾るための回復作業のみということで、今回のファービー2の作業は終了することになりました。
乾電池の液漏れは、致命傷になりますので、長期保管時は乾電池を外すことが必須ですね。
以上で、4体のファービーとファービー2の状況のご紹介でした。