4つのたまごっちの修理依頼がありました。
1.森で発見たまごっち
森で発見たまごっちで、通称、森たまという呼ぶらしいです。
新品未使用で購入されたとのことです。
たまごっちは、新品未使用で販売されていても、保管期間が長いので、ボタン電池が100%液漏れします。新品未使用 = 液漏れ腐食品となるので、購入される場合は、ボタン電池を外し動作確認済みを選んで購入されることを強くお勧めします。
ささて、依頼者様で電池の入れ替えでネジを開封したところ、1本のネジが折れてしまい、また元々挿入されてあったボタン電池の液漏れがあり、新しいボタン電池でも起動しないとのことです。また、ご自身で分解した際に何か部品がひとつ残ってしまったとのことでした。
こちらのスタッフブログでも紹介しておりますが、ネジが折れて埋没してしまった場合、ネジを綺麗に除去することは不可能となります。
また、その場合作業工数もかかりますので、費用相談の結果、今回は当医院在庫の筐体に交換することで費用を抑えることになりました。
部品取り用にオレンジ色のセットがあるので交換してしまいます。
次に起動不良の原因を探ります。
液漏れの粉がこびりついていますね。
これでは、導通不良で起動しないです。
以前は、ルーターでこびり付いた液漏れの粉を除去していたのですが、そうするとニッケルメッキも剥がれてしまい、以後の腐食耐性が低下します。
そこで、今回は接点復活剤で拭きあげ、ルーターの研磨ブラシで磨き上げてみました。
ルーターのブラシで物理的な異物はほぼ除去できました。さらに仕上げにピカールで磨き上げます。
もうどうしようもないレベルの腐食錆であれば削る必要があるのですが、この磨きで導通も確認します。
問題ありませんね。
ニッケルメッキまで研磨で剥がしてしまった場合は、ニッケルメッキをやり直したい場面も多いので、今後はメッキ処理できるように設備を充実したいと思います。
綺麗に装着もでき動作確認をします。
もともと新品未使用品でしたので、押しボタンの感度も問題ありません。
森で発見たまごっちは以上で修理完了です。
2.たまごっちnano
nanoという小さいサイズのたまごっちがあるようですね。
たまごっちでも十分小さいのにさらに小さいです。
うずらのたまごサイズなのでしょうか。
さて、こちらも新品未使用で購入されたそうですが、液漏れが発生しており、本体を開けようと挑戦したが、開けられずということで諸々まとめての依頼です。
既に液漏れ痕はお掃除されているそうです。
電池蓋の下部に見えているネジは外してもカバーを開けられないそうです。
何やら上の方に隠しネジのカバーが見えますね。
このカバー内に隠しネジがありそうです。では、診断しましょう。
ボタン電池を入れてもうんともすんともです。
さて分解しましょう。
隠しネジのカバーは、強引に抉るとボロボロになります。
そういう時は、セロテープなどで張り付け剥がしてみるとカバーが綺麗に抜けます。
たまごっちnanoの隠しネジカバーもマスキングテープで綺麗に抜けました。
隠しネジがやはりありました。
一見、綺麗そうに見えますが、よく見ると液漏れ痕があります。
チップ抵抗かパスコン、クリスタルの半田付け部は腐食しています。
では、まずクリーナーで綺麗にしてから、フラックスを半田部に塗り基板上の素子一式の半田を溶かし直ししてみます。
腐食により半田クラックなどを懸念していますが、目視では分からないレベルで、過去の経験で半田の溶かし直しがよく効きます。
起動しました。
ただ、ここで騙されてはいけません。
半田コテの熱で一時的回復しただけということも多く経験しています。
一旦冷まして再度起動確認と一両日の稼働テストと途中のリセットおよび再起動もします。
丸一日経過しましたが、途中寝るんですね。zZZと眠っていました。
ところで、このたまごっちnanoは、サイズもそうですが操作性や機能も縮小されていますね。
3.オスっち
オスっちも新品未使用で購入され、電池の状態を確認しようと電池蓋を外そうとした際に片側のネジを潰してしまったそうです。
デビルっちのたまごっちのネジとメスっち、オスっちのネジは過去の経験からとても固いです。
切れに溝がなくなっていますね。
では、挑戦します。
もうカッチコチでびくともしません。
もう蓋と一体化しているかのように固着しています。
格闘すること、10分、やっと出てきました。
ここまで出せればもう大丈夫ですね。
自分でいうのも、あれなんですが、よくこんな状態のネジを外せますよね。
電池ボックス内の電極には腐食もなく綺麗でしたので、動作確認して修理完了です。
4.デビルっちのたまごっち ピンク 折れたネジ除去
3つのたまごっちの作業が終わりかけた際に依頼者の方から、実はともう一個あるということで相談のあった、デビルっちのたまごっちです。
当医院の修理記事をご覧の皆さんにおかれてはご存知かと思いますが、デビルっちのたまごっちのネジは、外せませんというか、ほぼ100%折れます。
いづれの色でも同じようにネジが折れて終わりの世界になります。
製造ラインで電動ドライバーなどが使用されており、既に出荷時にネジの頭は折れているか、首の皮一枚で繋がっていると思います。
新品未使用品を中古で購入すると、元々そのような初期不良品であっても、長期間保管状態のままなので、初期不良での交換のタイミングを自ら逃しているような状態です。
他の記事でも啓蒙しておりますが、新品未使用の未開封品は購入してはイケません。
ほぼ100%液漏れしており、ほぼ100%ネジが折れます。
どうしても欲しいのなら、美品開封済み動作確認済みの商品が必須です。
購入された商品を直ぐ拝見しましたが、既に電池ボックスの蓋の左側のネジが折れており、カツカツで繋がっておりました。
届いて直ぐの状態です。
どちらも綺麗な状態ですが、左側のネジは既に折れております。
ネジを回すことすらなく、ドライバーですぐ取れてしまいました。
デビルっちのたまごっちのネジは、このように折れます。
ボタン電池も液漏れをしており電極も黒変しております。
研磨剤でニッケルメッキの表面を磨き無事動作確認もできました。
さて、依頼者様と相談し残った残骸のネジを除去できるか検討しました。
折れたネジは完全に埋没しておらず、若干出ております。
この出ているネジの残骸をどうにかしてネジを外せないかという検討です。
過去に精密ニッパーで摘まんで回したことがあるのですが、すぐ残骸部分も折れました。
そこで、半田コテでネジの残骸を熱しゆるゆる溶けたところで抜けないか検討しました。
しかし、そうすると抜けた痕がかなり汚くなりますし、抜けたとしてもその後どうできるのかもその後の検討が必要でした。
まず、抜けるかどうかを相談したところ、電池蓋をマスキングテープなどでとめて遊べるのならということ承諾をもらえました。
ダメ元で熱して緩ませて精密ニッパーで摘まんでみます。
ネジの残骸周辺をマスキングテープで養生します。
結果、残念ながら熱しても簡単には抜けません。
緩ませることはできても抜けません。
精密ニッパーで摘まんでグリグリすると、もげました。チーン _| ̄|o
コテ先で少し周辺も溶かしてしまいました。
これにて終了と相成りました。
さて、実はもう一案の提案をいただいた策があります。
本体の後ろ半分を同じ色の初代たまごっちから移殖するという方法です。
前述の森で発見たまごっちを同じ手法ですが、でびるっちのたまごっちでは、大きなリスクがあります。
でびるっちのたまごっちは、電池ボックスの蓋以外にも本体のネジも同じくとても脆いです。
黄色枠のネジも回すと折れます。
そうなんです。
でびるっちのたまごっちのネジは全て強固にネジまれており、外そうとドライバーで回すと折れます。
過去の修理記事でも折れています。
ホント厄介な代物です。
リスクを承知でネジ外しに挑戦すると、今度は本体のカバーを留めることができなくなります。
今回は、片側のみのネジ止めで遊んでもらうことになりました。
以上、4つのたまごっちのネジ外しを含む修理のご依頼でしたが、3つとも可動できるように無事なりました。最後のデビルっちのたまごっちのネジ除去は残念でしたが、現状で遊んでもらうことになりました。
全て動作確認など致しました。
動かなかったたまごっちが動くようになるのは、感動しますね!
特にデビルっちのたまごっちは、本当に嬉しいです。
このたびは、たまごっちの修理の件で大変お世話になりました。大切に扱って遊ばせていただきます。
~依頼者様のご感想より~