1.5才からタッチでカンタン!アンパンマン知育パッドで実装されているタッチスクリーンが割れたしまったという修理相談があります。
この割れた部品名ですが、調べてみるとタッチスクリーンというのが多いです。
一方、タッチパネルという使われ方もあります。
厳密な言い分けのルールはなさそうなので、ここは勝手に以下のように呼び分けをします。
タッチパネル・・・抵抗式
タッチスクリーン・・・容量式
従いまして、本記事は容量式なので、タッチスクリーンと呼ぶことにします。
何か物をぶつけたか、落としたかで画像のように割れます。
容量式のタッチスクリーンが液晶の上面に張り付いており一体化しています。
液晶の描画に問題なければ、当医院の4.3インチタッチパネルの修理のように上層のタッチパネルのみを剥がし交換できます。
この容量式のタッチスクリーンも同じ手法で修理できないか考察した記事になります。
結論から申し上げますと同じドライバーIC品でないと無理です。
仕様確認
まず、商品に実装されているタッチスクリーンの仕様を確認します。
液晶モジュールについているFPCケーブルが3か所あります。
左側から、バックライト、液晶、タッチスクリーンのケーブルになります。
タッチスクリーンのケーブルは、ドライバーICがケーブル上に実装されております。
ドライバーICは、FT5436というFocalTech Sustem社のICです。
10ピンのFPCケーブルが基板のコネクタに接続されています。
基板側を確認します。
10ピン用のコネクタで接続されます。
さてさて、ここでこのタッチスクリーンは、一般的な市場で入手できる代物なのかざっくりみます。
市販品
秋葉系のジャンク屋さんやAliexpressなども物色してみると、5インチ用のタッチスクリーンは見つかります。
ですが、ドライバーICがGT911というGoodix社のICです。
ネットで見つかるタッチスクリーンは、6ピン FPCケーブルの商品です。
おやおや、┐( ̄へ ̄)┌
既にここでポン付けできるような代物でないことが判明しました。
FPCケーブルの接続面も裏表逆です。
もう既に半分あきらめモードです。
次いでなので、このタッチスクリーンなる仕組みを仕様書で確認します。
インターフェース
既に市販商品を検索した際に見つけたのですが、6ピンの内訳は、以下のように共通のようです。
- Reset
- Vcc
- GND
- INT
- SDA
- SCL
I2Cインターフェースで取得した座標をホスト側に割り込みで通信しています。
I2Cならば無理ですね。だってスレーブのアドレスが違うもん。
GT911の仕様書を確認すると。
GT911 的I2C 从设备地址有两组,分别为0xBA/0xBB 和0x28/0x29。主控在上电初始
化时控制Reset 和INT 口状态进行设定,设定方法及时序图如下:GT911 の I2C スレーブ アドレスは 0xBA/0xBB と 0x28/0x29 の 2 セットあります。メインコントロールは最初は電源が入っています 変更時に設定するリセットおよびINTポートの状態を制御します。設定方法とシーケンス図は以下のとおりです。
~GT911仕様書より~
であればと、FT5436の仕様書で確認しましたが、スレーブアドレスの記載がないので、恐らく組み込みの場合は、I2Cアドレスのスキャナなどで読み出しするしかないでしょう。
さて、FT5436のタッチスクリーンは、ラズパイで利用している方も多く、そのような記事を拝見すると、
I see on my I2C bus that the chip do respond at 0x38 address, so at least that part looks ok.
手持ちのFT5436のI2Cバス上の通信を確認するとスレーブアドレスが0x38で応答していたのが分かった。恐らく少なくともこれで大丈夫でしょう。
~FT5436 touchscreen interrupt記事より~
とありますの、ドライバーICの違いから互換性なしですね。
またFT5436の仕様書からもINT信号のポラリティが逆だったりしますね。レジスタ関係の仕様も異なりそうです。
ここまで調べたらアンパンマン知育パッドの10ピンが気になります。もう少し調べます。
アンパンマンの知育パッドのICとFPC端子の結線を調べると、10ピンのうち9ピンしか使われておらず、そのうち2ピンがGNDになっています。
なるほど、基本6ピンのインターフェースで共通なのですね。
さらに突っ込んだ仕様面での違いや実際の投資コストなども考えると投資に見合う修理になりそうもないという見解に至りました。
メーカー様でも修理の受け付けはしていないとお聞きしておりますが、液晶のタッチスクリーンが割れた場合は、もう修理は難しいという結論になります。