connection ver.5 たまごっち液晶故障 修理不可能

connection ver.5という海外版のたまごっちの修理依頼がありました。

国内の製品でいうと、『ふぁみりーイロイロたまごっちプラス』と同じ商品のようですが、外装の仕様が違うようです。

ボタン電池を挿入し起動すると、ビープ音は鳴るが、液晶が映らないという症状です。

届いてすぐ確認しましたが、液晶の描写が薄く途切れ途切れです。

分解し基板上を目視確認しましたが、これといった故障はありませんでした。

依頼者のところで一度分解しておられたそうで、圧電素子の導線が取れていますが、その他で何か液晶に関わるような不具合はなさそうです。

液晶描画確認

液晶を描画させると、まったく映らないというのはなく、時間の経過とともに途切れ途切れの映りがハッキリしてきます。

そのうち、時計合わせなどでは、数字がうっすら確認でき、ボタンの押下で設定も一部できているところも確認できます。

ボタンの押下のタイミングでのビープ音との連動なども音のみでは正常のようです。

残すは、液晶の導電性ゴム電極の導通不良です。

この導線性については、過去に評価した経験があり、AC特性など解析して測定されたSパラメータで高速な信号など伝搬させることができます。

一方、恐らく素材上の品質劣化から伝達特性が変化することも容易に想像できます。

いろいろ試してみると指で押せるような単純な押し圧不足ではありませんでした。

基板上に設置し電極ゴムの上を指で押してあげると、押し圧の増加で液晶の映りは濃くはなりますが、基板が撓むようなほどの圧力でやっと少し変化が出るぐらいです。

導通不良が描画不良の一因であることは、どうも確かそうです。

といっても、これ以上の確証を得ることが難しいです。

交換用の液晶も手持ちになく、依頼者にお聞きすると、国内版のふぁみたまでもないと液晶の移植交換もできないそうです。

というのも、おなじたまごっちプラスシリーズでも、『ケーたま』や『エンたま』などのたまごっちプラスとこの『ふぁみたま』のたまごっちプラスは、描画している液晶が違うそうです。

中古市場では、ジャンク品の流通もなく、いわんや同じ『connection ver.5』も『ふぁみたま』もおいそれと購入できるような価格帯での流通ではなくなっています。

状況も依頼者へ報告し、ここまでで修理不可能と判断し、もし今後移植用の液晶が入手できた時点で再度検討をされるそうです。


瀧下様 まずはじめに、この度は依頼をお受けいただき誠にありがとうございました。

今回お預けしたたまごっちは、数年前の中古購入時から動作せず、地元のおもちゃ病院に見せた際は中を見ることもなく門前払いされ、また当然ですが素人の私では自力で原因を調べようもなく、私としてはなんとも諦めのつかない状況で数年間くすぶっておりました。

そんな中、ネット検索で瀧下様の宅配おもちゃ病院のページへたどり着き(実は数年前から存じ上げておりましたが、その頃は受付を休止しておられました)、この方であればたまごっちの依頼を門前払いされることはないであろうと、希望を持ってご連絡させていただきました。

その後のご返信および診察のご対応は、想像していたよりも遥かに詳細かつ丁寧で、写真も多数用いてご説明いただき、大変に納得できる内容でした。

今回は結果として修理不可ではありましたが、パーツ交換によって修理できる可能性も示していただき、色々と勉強させていただけて非常に有意義な依頼となりました。

代替パーツは時間をかけて探していこうと思いますが、もしも用意できた際は、是非また瀧下様に修理を依頼させていただきたいと考えております。

その際はどうぞよろしくお願いいたします。

重ね重ね、今回は誠にありがとうございました。

~依頼者のご感想より~