5インチ版のアンパンマン知育パッドの修理依頼がありました。
タイトルのとおり、お子様が乾電池で遊んでいる際に水に落としてしまったそうです。
すぐに電源を落とし分解してエアブローで水分を飛ばし、十分乾燥させたが、それ以降起動しなくなったそうです。
電子回路や液晶などいろいろ実装された商品なので、各所で影響が出ていそうですね。
まぁ、水没なので、肝心の電源関係で高圧に弱い箇所は、すぐに壊れてしまいます。
ぱっと見きれいではあるのですが、やはり半田部など何か汚れなど付着ありそうです。
電池ボックスのヒューズは無事でした。
まぁ、元々導通していたのだから過電流など流れそうにはありませんね。
主回路のヒューズも問題ありません。
では、次にクリスタルの発振を確認します。かなり不安定でしたが、半田付け部を溶かし直したところ、安定して発振しはじめました。
念のため、コンデンサー部も半田を溶かし直し、クリスタルも別の6MHzのクリスタルに交換してみます。
ここでも改善しません。
因みに、この基板はマイナーチェンジ前の基板でマイナーチェンジ後は、COBパッケージになっています。
つい最近経験のあった発振回路内の故障も懸念し外部クロックでも起動テストしてみましたが、やはりうんともすんともです。
ここまで解析してみると、IC内部のIO回路が故障してしまったようです。
以前、発振回路故障で起動時のスリープ状態から起動できなくなっていた際に計測した、起動直後の消費電流も同じように計測してみます。
以前の計測時は、16mA程度流れていましたが、今回は、46mA程流れています。
約2.8倍の電流が流れています。
基板上のレギュレーター回路で主電源から3.3Vへの減圧も正常です。
I/O系の電源である3.3Vは、基板裏面のICの真裏の太いリングに正常に給電されています。
また、コア用電源として1.8Vも正常に減圧され給電されています。
完全な断線などではない故障モードのようです。
最後に説得力がないのですが、水に入ったショックで目に見えない半田クラックを懸念しQFPの足の全てを溶かしなおしてみましたが、まったく改善の兆候すらないです。
さて、ここでIC故障で修理不可能と判断したのですが、そういえば部品取りが1台あったはずと思い出しました。
というのも、液晶割れの相談も多くいただいていたので、そもそも交換の可否を調査するため、液晶割れのジャンク品を入手して液晶を調べていました。
こちらに調査結果を載せています。
そのジャンク品は、液晶は割れていますが、基板はいきています。
依頼者と相談をして今回は基板交換で対処することになりました。
ですが、肝心の依頼者様の知育パッドの液晶がいきているか確認しましょう。
では、早速基板を移植して液晶の描画とタッチパネルの操作を試します。
問題ありませんね。
今回は、運よく部品取り機があったので、移植できました。
通常は、修理不可能であった事態ですが、これでまたお子様が遊んでもらえると思います。