この手の商品に詳しくないのですが、『ブルマァック』って、ウルトラマンや円谷さんの怪獣シリーズなどのフィギュアやリモコン商品を発売していたメーカー名のようです。※違ったら、ごめんなさい。
さて、今回のご依頼は、リモコン内の半田付け部が取れてしまい、その半田付けをご自身でチャレンジされ失敗したとのことでのヘルプでした。
では、商品を診ましょう。
ブリキ製の怪獣と導線でつながれたリモコンです。
緑の怪獣の背びれはゴジラそのままですが、頭部は爬虫類系です。
リモコンは、単一の乾電池2本が直列になっており、青いプッシュスイッチで怪獣本体側に給電します。
怪獣本体内のギアボックスをモーターで駆動し前進と口あけ、口の中に仕込まれた麦球が光り炎を吐く演出をしています。
が、残念ながら麦球の劣化でかなり暗いです。
怪獣本体側の動作は、問題ないとのことなので、断線した導線の極性のみ確認します。
極性が逆だとギアが回らないので、すぐ分かります。
さてさて、ではリモコンの状態を確認します。
導線が通っていた穴が割れています。後で接着しておきます。
導線は既に取れているのですが、黄色矢印の箇所が気になります。
横の筐体の壁が溶けているのは半田コテを当ててしまったのだと思います。
横のリベットは、表面の青いプッシュスイッチで導通する金属バネでリベットのカシメ部に半田付けの痕があります。
もう片方は、黄色い矢印のリベットに半田付けしてあったかと思いますが、その面影がありません。
当初のこの痕を目視した時、カシメられていたリベットの上からドリルか何かで削ったのかと思っていました。
その理由は、ネットで検索すると、いろいろリモコンの画像がヒットします。
これは、参考画像ですが、正極のリベット部分の中央はやはり穴が空いています。
※この画像の電池ボックスの負極の電極も付か方が間違っており、経験の無い方が修理に挑むと手痛いことになります。
さて、後で判明するのですが、自分は、先の黄色矢印の箇所にあらたにリベットを打ち直したのかと誤認しておりました。
いづれにしても端子がリベットでカシメられている紙フェノールの台紙を外さないといけません。そういえば、昔の基板も紙フェノールでしたね。
ですが、この台紙、経年で脆くなっています。
依頼者には、この点の破損リスクの承諾を得て台紙外しに挑みます。
筐体にはめ込んでいるツメは、カッターでカットする以外にありません。無理に開いて抉ると筐体のプラスチックが割れます。
ツメをカットして引き開くとプラス電極がスルスルと抜けるはずです。
はい、はずです!
が!一大事です!
抜けません。
いくら引っ張っても抜けません。
もうここまでやってしまったので、もう後に戻れないので台紙のリベットの周辺を壊して強引に引き抜きます。
台紙もボロボロ。T_T
なんじゃこりゃ!?┌|◎o◎|┘
なんで、プラス電極と台紙とをカシメているリベットが負極電極にくっついているの?
おっかしいでしょう!
だって、これでは電源がショートして発熱してしまいます。
って、発熱!?
そういえば、依頼者が、自身で修理に挑んだ際に発熱していたとおっしゃっていたことを思い出しました。
ですが、以前は正常に動いていたともおっしゃっていました。
大混乱です!( ̄▽ ̄;
このように正極と負極がくっついていると、もちろんですがリモコンとしての機能はしませんし、何よりも発火などたいへん危険です。
依頼者の方にヒアリングしても半田付け以外はしていないので、もちろんですが、正極と負極をつなぐようなあらたなリベット打ちもしていないそうです。
いろいろなことが、頭を駆け巡ります。◎o◎
現場検証です。〇-〇
拡大画像です。
元々台紙とプラス電極がカシメられていたリベットは、青のリベットです。
ですが、明らかに負極にもピカピカに光るリベットらしきものが打ち込まれているようです。
しばらく、いろいろなケースを想像し数時間経過しました。
と、依頼者が半田付けに挑戦して断念したことを思い出し、
もしかして、
リベットの中央の穴にしこたま溶けた半田を流し込んだら?
と想像しました。
そもそも、このリモコンの設計者にも物申したいのですが、なんで、正極と負極がこんなにも隣接して設計されているの?
と文句も出てしまいます。
ここが貫通するのってどうなのと考えていたら、流し込んだ半田がリベットの穴を伝い落ち、筒状に形成され真下の負極にも付いてしまい、運悪く半田もくっついたとしたら?
そこで、半田こてで溶かしてみたところ、
なんと!
溶けました。ー_-;
きれいな円筒状の物質は溶けた半田でした。
溶かすとプラス極とリベットがごっそり外れました。
はーっと、疲れが、疲れが、、、。
まぁ、ここは仕切り直して、どう修理できるか考えます。
破損した台紙、プラス極をどう固定するか?
プラス電極とマイナス電極が隣接しているので短絡事故が起きないようにどうできるか考えなければなりません。
まず、破損した台紙とプラス電極は、M3のネジで絞めて固定します。
緩まないようにネジロックします。
ですが、先の画像のようにプラス電極とマイナス電極がすれすれで、しかも裸の金属むき出しで隣接しているため、ネジ止めしてもショートします。
もう、どうしようっかなーと考え樹脂製のネジで絞めることにします。
これでマイナス電極とのショートは回避できます。
次に正極導線は、じゃあどこに半田付けすべきか悩みます。
ネジは樹脂製なので、ワッシャーとナットは鉄製にしてそこに半田付けして締めます。
これで電極とも導通し固定もできます。
一石二鳥ですね。
樹脂製ネジなので、強固に締めるとネジが折れます。
そこそこで締めておき最後はロック剤で固めてしまいます。
固める前にプラス電極と導線の抵抗値を計測しておき問題ないことを確認しておきます。
削った台紙のツメはもう無いので台紙とリモコン筐体は、エポキシ接着剤で固定します。
入念に押しボタンに導通確認と正極、負極間の短絡も何度も確認してから接着固定します。
まぁ、樹脂製ネジの頭があるので、ちょっとやそっとでは短絡事故は起きませんが、ここは入念に確認します。
さて、固着するまで小っちゃいマイナスのドライバーでおさえておきます。
最後は、取れた導線と接続して修理完了です。
リモコンの蓋の合わせ目がなかなか合いません。精度が悪いのもありますが、なんか負極の伝い先の発熱の熱で底面が歪んでいるようです。
乾電池の出し入れは、注意して行っていただくようのお願いしました。
このフォルムは、すごくカッコイイですね。
バッチリ直りました。
ガォーン!
見事に治っていました。感謝致します。ありがとうございました。
~依頼者のご確認より~