夢の子 ネルル 右手断線と傾斜センサーメンテナンス

ネルルちゃんの修理依頼です。

起動しなくなったということです。

到着してすぐの動作確認でもうんともすんともでした。

設定データ保持用のボタン電池と単二乾電池4本を電池ボックスに設置して、右手か左手のスイッチで起動する、

ハズです。

まったくのうんともすんともです。

では、分解して本体内部を診断します。

ユメルも、ネルルもミルルも同じですが、背中のファスナー内の結束バンドをカットし首の付け根にある縫い付け部を開きます。

電源スイッチやリセットボタンの基板と取り出し、頭頂部の圧電素子とお腹の圧電素子も触れるようにしておきます。

さて、再度起動テストをしてみます。

やはりまったくのうんともすんともでした。

がー!

分解した場合は、電池ボックスの蓋がしっかり閉まっていることを検出するプッシュスイッチが押されていないと起動しません。

おおお、そうであった。

このプッシュスイッチをプラスチック製の洗濯バサミで挟んでおきます。

念のため、もう一度起動確認すると、

なんとー!

起動しちゃったよ。

( ̄┏_┓ ̄;)

仮動作確認

あら!?

起動しちゃった。

想定外でした。

やったことといえば、さっきのプッシュスイッチをお洗濯ばさみで挟んだだけ、、、

おおおー!

もしかすると電池ボックスの蓋の閉まりを検知するプッシュスイッチの接触不良だったんじゃね?

ということでプッシュスイッチの接点に接点復活剤を吹き込んでコキコキを繰り返しておきます。

2,3回再度起動テストしてみましたが、問題なく起動します。

なんだ、故障はこのスイッチの接触不良だったのかということで、依頼者に一報をしておきます。

そして電池を抜き少し時間を置き、起動後の他の故障が無いかも確認しようとしたところ、、、

再度起動しなくなっています。

チーン

_| ̄|o

あれ?

なんでだ?

と、電池ボックスの電圧を確認すると、4本なので本来であれば6.0Vほどあるはずの電圧が、2.8Vまでしかありません。

騙されていたようです。

先の電池ボックスの蓋のプッシュスイッチは白だったようです。

主因は、この電池低下が真犯人のようです。

結構あちこち調べていると原因は判明しました。

ここです。

目視上まったく問題なさそうに見えます。

が!

渡り電極が収まっているケース内部でどうも断線か高抵抗状態です。

この高抵抗状態のため電圧が低下していたようです。

実際にマルチメーターで計測するとMΩオーダーの抵抗値を示すことがあります。

あれこれと調べていると完全に断線してしまいました。

等価回路のようにこの渡り線間で何か事が起きているので、迂回するようにリード線で短絡しておきます。

ケースのカバー内部なので目視で確認できませんが、もしかするとヒューズ部品が仕込んであったのかもとも推測しています。

※ご存知の方がいらっしゃれば教えてください。でも、このケース内部ヒューズを仕込むのは、ちょっと考えづらいですね。


後日談

この電池ボックスのケースの内部にヒューズがあることことです。

こちらの修理記事で紹介されおります。

情報をご提供いただきました、おもちゃドクター様に感謝申し上げます。

現在、迂回配線を1A アキシャルヒューズに換装手配しております。


まぁ、これで安定して起動できるようにはなりました。

やっと、起動故障以外の不具合の診断ができるようになりました。

先の動画では、初期設定まではできていましたが、その設定は、左手のみだったので、すぐ気付かなかったのですが、右手が効いていませんでした。

初期設定時にやり直しなどで、右手を使うのでこれは分かると思います。

右手スイッチのほぼ被覆の付け根で断線していました。

再半田して熱収縮チューブで固定します。

頭頂部の圧電素子も反応良好で、おでこのマイクにも反応します。

ですが、お昼寝しません。

横にして胸をトントンすると、眠くなるはずですが寝ません。

お腹の圧電素子の導線の断線はないことは確認済みなので、恐らく横になっていることを検知できていないと予想されます。

これです。

センサー内部で玉がコロコロしているのは、音で分かるのですが、念のため、導通チェックすると、どのような傾斜にしても、どの端子も導通していません。

やはり、傾斜センサーの接触不良が原因のようです。

取り外し分解して内部をメンテナンスします。

端子に基板が半田付けされているので基板を外し分解します。

蓋の5か所が溶着されているので破損しないように蓋をあけます。

目視では、どの電極もきれいに見えたのですが、ほぼ全滅でどの端子も何か酸化膜のような汚れ膜のようなものが付いています。

結構念入りに接点復活剤で磨き上げます。

玉は、メッキ処理されているので、削るとメッキが剥がれてしまうので、あくまでも磨くだけです。

傾斜センサー単体で組み立て玉をコロコロさせ、端子間の導通をマルチメーターで確認します。

まったく不導通だったのですが、元通りに導通するようになりました。

蓋は、弾性の接着剤で固定して元に戻します。

縫い上げる前に仮動作を繰り返し傾斜センサーの動作が問題ないことも確認します。

トントンおねんね

無事横にしてトントンすると、ネンネしてくれます。

快調になりました。

\(^o^)/

ではでは、開いた縫い合わせを綺麗に縫い上げて修理完了です。

ボタン電池のネジ留めがなくなっていたので、透明シートで作成して付けておきました。