おうちのでかたまごっち、やさしいたまごっち、デビルっちのたまごっち修理

おうちのでかたまごっち、やさしいたまごっち、デビルっちのたまごっち

また、でかいたまごっちの修理依頼がきた!

おもちゃ病院の活動をしていますが、正直たまごっちをよく知りません。( ̄▽ ̄;アハハ

初代のSSサイズの鶏卵のようなたまごっちしか知らないので、先のおうちde!たまごっちステーションが来たとき、なんとびっくりしたことか!

!!( ; ロ)゚ ゚

なんじゃこのでかいたまごっちは!と驚いていましたが、今回はなんと二つも依頼がありました。では、順に診断していきましょう。

おうちのでかたまごっち

表面

さて、不具合の症状は、音声が出ないそうです。

このおうちのでかたまごっちは、音量調整用の切り替えスライドスイッチが、向かって右側にあって、OFF-LOW-HIと三段階に切り替えることできますが、もちろんですが、その切り替えもできません。

診断のため 分解しますが、裏面の隠しネジを外します。

裏面
隠しネジ

隠しネジの蓋を慎重に外します。

大きいと作業がし易い!

電池蓋ネジ

M2.6mm * 8mmのなべネジ(パンヘッド)の溝が削れていたので、新品に交換します。

ネジ交換

純正のネジは、ネジ留めのワッシャが付属しているのでこのワッシャーも移殖しておきます。

ワッシャー移殖

因みに、本体固定のネジ受け支柱の一つの溝(上部)が少し削れていました。

溝削れ

底の溝がまだ大丈夫なので、ネジを絞めることはできますが緩めてもネジが抜けないので、本体ごと外してネジを外します。

さてさて、音声を出している圧電素子を拝見しましょう。

圧電素子

圧電素子をチェッカーで確認しますが、無事音声が出ていますので、圧電素子は大丈夫そうです。(この時点では)

では、基板側から音声信号が出ているかを、こんどはクリスタルイヤホンで確認します。

圧電素子なので、コイル型ではなくクリスタルイヤホンで確認します。

( ,,`・ω・´)ンンン?

無事音声が出ているよ。

基板から音が出ていて、圧電素子も音を出力できる、、、。

なんじゃ!?

┐( ̄へ ̄)┌」

再度、圧電素子単体をチェッカーで確認してみますと、今度は音声が出てこなくなりました。

あれれ?

基板に再度半田付けしてみると、正常に音が出力してもおります。

┐( ̄へ ̄)┌」

基板と導線の半田不良かもと思いきや原因が判明しました。

導線にちょっと触れたり力を加えて曲げると音が出たり出なかったります。

圧電素子

圧電素子の中心側の半田付けにクラックが入っているようで接触不良が出ています。

目視上は、問題ないように見えますが、この圧電素子はセラミックに銀メッキで導線を接続しているので、銀メッキ側の接触にクラックなど問題が出ているのでしょう。

で、再半田します。

銀メッキ用半田

おもちゃドクターであれば、ご存知だと思いますが、この圧電素子はセラミックに銀メッキされているので、普通の錫入り半田を使用すると銀食われで銀メッキが、根こそぎ半田コテに吸収されてしまい、銀メッキ部分が無くなり半田付けできなくなってしまいます。

銀含有の半田を使用して銀食われを抑制します。

半田盛り

とここで、高を括っていたら自分も失敗してしまいました。

画像の半田が盛ってある横ですが、銀食われが出ています。

そうです、銀含有の半田を使用する以外に、事前に小手先に十分に銀含有半田を盛っておらずかつコテの温度を下げておらませんでした。また、銀メッキの上に塗布された圧電素子用の接着剤も除去しておかないとイケません。

かなり焦りました。

半田のケースの説明にちゃんと記載されていますが、200℃程度で半田付けしないとイケません。

_φ(..)メモメモ

かなり焦りましたが、銀メッキの表面をサンドペーパーで少し研摩してメッキ部を露出させ、半田コテの温度を200℃くらいにして、銀含有の半田をあらかじめ小手先に溶かし盛っておき、慎重に半田をメッキ部に盛ります。

皆様、お気を付けて!

さて、無事再半田でき、導線をくねくね曲げたりいろいろ力を加えても音声が出るようになりました。

半田完了

音量切替スイッチの接触も悪くなっていたので、接点復活剤を吹いてコキコキしておきます。

問題なさそうですね。

以上で、おうちのでかたまごっちの修理完了です。

では、次行きましょう!


やさしいたまごっち

やさしいたまごっち

こちらも大きいたまごっちです。なんと!

以前は、メニューは押しボタンで切り替えていたのですが、それぞれのメニューは独立した押しボタンになっています。

で、不具合の症状は、液晶画面が赤みを帯びているそうです。

液晶の赤みは、ビネガーシンドロームをいう症状が多く紫外線で偏光フィルターが焼けてしまうと液晶からのドットを偏光できなくなり、かつ焼けるので今回のような赤みを帯びると思います。

実際にみてみます。

分解

液晶は、基板の裏側にあります。

レンズ

レンズには濁りも傷もなく綺麗ですね。

因みにこのレンズは、プラスチック製ですが、アルコールで溶けてしまうので、念のため拭こうとしてもエタノールなどのアルコールの使用は厳禁です。

万一拭いてしまい、表面が濁ってしまった場合は、鏡面用の研摩剤で磨くしかないです。

さて、液晶画面をみます。

液晶

電源OFFの状態では液晶自体も目視上、問題なさそうですね。

では、電源を入れてみます。

描写

ここで、赤みが出てきました。

しかも、ドットがうっすら全体で反転していますね。

うーん、うっすら全体が反転しているのって、たぶん偏光フィルターに問題が出ているように感じますね。

だからといって液晶側の問題がないとも言い切れないです。

液晶

黄色い矢印が液晶ガラス面に貼ってある偏光フィルターです。

糊で粘着しています。

過去に一度剥がしたことがあるのですが、糊がガラス面に残るので綺麗に除去するのが本当に大変です。

問題が液晶なのか、フィルターなのかを切り分けるためには、どのみちこの偏光フィルターを剥がさないとだめです。

しかも、当医院在庫の偏光フィルターのシートは、糊無しでたまごっち用ではありません。

なので、偏光フィルターを剥がし糊を除去し交換するフィルターは、サイズカットして液晶ガラス面とレンズの間に挟み込むだけになります。

まだまだあります。

緑の矢印が、液晶の電極と基板の電極ランドを接続する導電性のゴム端子です。

このゴム端子は、液晶のガラス面には粘着しているのですが、この粘着を万一剥がしてしまった場合、取返しがつかないです。基板側を元々押し圧だけで接続されているので、剥がせるのですが、長年強い圧で基板とくっついていると、基板と端子が剥がれなくなっています。

そこで、力任せに剥がそうとするとガラス面側剥がれます。!!( ; ロ)゚ ゚

このリスクは、偏光フィルターを剥がす際も誤って作業中に剥がしてしまうリスクがあります。

原因究明と切り分けのために液晶モジュールを基板から剥がすことは、このリスクがあります。また、偏光フィルター交換も同じリスクがあり、ここまで成功しても交換できる偏光フィルターが、たまごっち用ではないので、液晶画面の色見が違ってきます。

この手の色味の違いは、偏光フィルターを通販で販売している、フィードバックにもいろいろ出ています。

さてさて、どうすべきか依頼様といろいろ相談しました。

現状の症状は、今後も少なからず進行はします。

でも、前述のリスクを冒してまでも今々作業を実施すべきではないとアドバイスし、今後さらに症状が進行し堪ええないようになった時点でリスクを冒して作業を実施するか、ジャンク品から丸ごと液晶モジュールを移殖するかなどしましょうということで今回は現状のままとなりました。

では最後にデビルっちのたまごっちを診断します。


デビルっちのたまごっち

デビルっちのたまごっち

過去にも数回診断したデビルっちのたまごっちのピンクですね。

不具合の症状は、育成途中で不定期にリセットが掛かってしまうそうです。

こちらの過去の修理実績にもある、この手の不安定な動作の原因は、電池ボックスの電極の腐食痕などの錆や液漏れの粉が原因のことが多いです。

では、電池ボックスの電極を確認します。

腐食痕

分かりづらいですが、突起部の先端に腐食痕がありますね。

導通不良

ハンディテスターで導通を確認します。

慎重に突起部の先端を計測すると、導通していませんね。抵抗値が、O.L表示のままです。

この腐食痕が突起部の先端にあると、ボタン電池の負極の形状次第ですが、接触不良が何かしらのはずみで生じることが多いです。

突起部の先端以外で接触し、無事起動と育成を開始しても、たまごっちのおせわで表面のシリコンボタンを押したはずみで突起部の先端に接触部がズレてしまいリセットしてしまいます。

不定期にリセットされるような電源のON/OFFは、まずは電極の状態を確認した方がいいです。

先端研摩

今回もルーターで研摩するとニッケルメッキも広範囲に剥がしてしまうので、接点復活剤を吹いて磨いておきます。

かなり綺麗になりました。

さて、ここまで電極の腐食起因ですが、その他の要因も調査します。

基板

電極の半田にクラックが入っていると、同じように押しボタンの圧で基板がたわみ接触不良を起こし場合によってリセットが入ってしまいます。

これはクリスタルの半田も同様です。

確認のため基板を外しますが、ここでやらかしてしまいました。

!!( ; ロ)゚ ゚

製造から長期間経過しており、基板留めのネジも脆く、慎重に作業をしたのですが、ネジを折ってしまいました。

!!( ; ロ)゚ ゚

四隅にあるネジを順に外していき、三つ目(左下)のネジを折ってしまいました。

折れたネジの残骸は、ネジ溝の中に埋まっています。これはもうどうすることもできない事態です。

1つ目や2つ目のネジも、かなりあやしかったのですが、三つ目は、脆くぽろっともげてしまいました。!!( ; ロ)゚ ゚

イヤーな汗がドドドっと流れました。

四つ目のネジも折れる可能性を考慮し基板側の不具合確認は断念しました。

この基板のネジは、前面筐体と基板を固定するためのネジなのですが、今後は残っている三つ目のネジで固定するとします。裏面の筐体で固定するネジも四つあり、折れはネジの直ぐ横にも裏側の筐体ネジがあるので、折れたネジでもたまごっちの動作的な影響はほとんどないと思いますが、依頼者様に一報の上、ご了承いただくことになりました。

では、基板側の不具合は、電極の研摩後しばらく稼働させ操作中にリセットが起きないか確認します。

約20時程度ですが、育成に挑戦しました。

おトイレやご飯など。。。結構たいへんです。

しばらく放置していたら、BAD ENDになって怒られました。。。( ̄▽ ̄;

裏面

電池ボックスのネジも新品に交換して今回の依頼は完了となります。

依頼者様で起きた不定期なリセットもおせわの時にボタンを押した時に生じたそうなので、今回の原因は、ほぼ電極突起部の先端の腐食痕でしょう。

さらなる稼働テストをお願いしておきました。