たまごっち いろいろな修理

いろいろなたまごっちの修理依頼がありました。それぞれについてご紹介しましょう。

#1. たまごっちプラス ふぁみたまワールド

青がきれいなたまごっちですね。

表面のシリコンボタンの反応が悪いそうです。

反応しないということではなく、押し込むと複数回反応してしまい操作しづらいとのことでした。

電子回路のチャタリングですね。

到着直後に動作確認をしましたが、特に左端のメニュー切替ボタンが複数回反応するので、操作しづらいです。

チャタリング現象は、メカニカルな電気接点の宿命なので、ソフト側などで対応します。

たまごっちも対応は既になされてはいるのですが、それでもチャタリング現象が起きるということは、ソフト側でも対応できないような複数回接点に接触するような機械的な現象が起きていそうです。

と難しいように書いていますが、要は汚れか異物でが接点とボタンの間に挟まってかで指押し込んだ際に機械的に複数回接触しているのでしょう。

恐らくたまごっちのプログラムは、チャタリング防止でFFを仕込んでいるか時間おきで電位の安定性を観測しボタンの押し込み判定をしていると思います。

で、依頼者様は、同じことを推測しご自身で分解し接点を清掃しようと頑張られたのですが、隠しネジのカバーが開けられずということでの依頼でした。

●要件

  1. 隠しネジのカバーは外す。
  2. 分解しボタンのチャタリング現象を改善する。

の2点です。

では、隠しネジのカバーを診ましょう。

黄色枠の隠しネジのカバーです。

通常は、鋭利な工具で抉るのですが、やはり大事なたまごっちなので、傷を付けたくないなどありますからね。

傷を付けずに外す場合は、強力な粘着テープで引っ張ることを想定していましたが、依頼者様よりホットボンドを塗って固まった後に引っ張るという手段も教えてもらえました。

では、挑戦します。

巷で売っている厚みのある超強力な両面テープです。

3M製などいろいろあります。

では、貼って十分粘着するようにカバーの上を押しこんで、、、、

剥がします。

ざんね~ん。 ̄▽ ̄/~

粘着の面積が小さく粘着力が足りません。

ではでは、次はホットボンドでリベンジです。

では、剥がしましょう!

ざんね~ん。パート2。 ̄▽ ̄/~

きれいに型取りできました。

おやおや、どうしましょうかね。

やはり物理的に抉るほかないでしょうかね。

依頼者様に状況を報告し傷などご了承の上抉ることになりました。

でもしかし、できる限りきれいに外せるように頑張ります。

少し端な白くなりましたが、致命的な破損もなく外せました。

ふぅー、やっと終わりました。\(^o^)/

…あれ!?

いやいや違った。

本業はボタンの接触改善でした。

では、分解しボタンの接点を確認します。

櫛パターンの間に何か黒いのが粘着していますね。

異物の粘着でパターン表面に凹凸ができてしまい、押し込み後にボタン側の接点が離れて際に再接触を繰り返していたのでしょう。

アルコールできれいにします。

次にボタン側の導電塗料も表面を薄く研磨しておきます。

これで大丈夫でしょう。

動作確認

解消しましたね。

電池ボックスのネジも錆が上がっていますので、新品のネジに交換します。

ネジは新品はやはりいいですね。

以上で、#1. たまごっちプラス ふぁみたまワールドの修理は完了です。


#2. たまごっちプラス ふぁみたまラブ

動作は問題ないのですが、電池ボックスのネジを新品に交換したいそうです。

ネジが少しさびでおり、溝も少し潰れかけております。

依頼者様では、このネジも外せないとのことでの依頼でした。

ネジは蓋から取れおりないように樹脂のワッシャー付きです。

純正のネジは、ワッシャー付き部分のネジ山がないタイプですが、ワッシャーは樹脂製なので通常のネジでも問題なく装着できます。

M2.6 * 4mmもしくは5mmの長さがぐらいがちょうどいいくらいです。

また、蓋のネジ穴の頭のサイズもあるので、なべネジの頭の径と穴の径も調べておきます。

※フラットヘッドタイプのネジを試したことがあったのですが、フラットヘッドタイプは強度を保つために頭の径が大きくハマりませんでした。

長いネジで絞め込むと基板にネジ先が達し基板を損傷します。

純正のフラットヘッドもいいのですが、個人的にはこのなべネジがお気に入りです。

すっきりですね。


#3. たまごっちメスっち

メスッチの潰れたネジの開封の依頼です。

オスっちもメスっちもデビルっちのたまごっち同様にネジがとても折れやすいです。

デビルっちは、ほぼ100%折れるのですが、オスっちやメスっちは、80%折れます。

残念ながら、今回のメスっちも折れて失敗してしまいました。( ノД)シクシク…

※この失敗、結構引きずります。

向かって左側のネジが潰れたネジで右側は問題のないネジです。※右側のネジは、なぜかサイズの細いネジでした。

ネジの溝はもう完全に無くなっておりますが、当医院においては、このぐらいのネジであれば回すことはできます。

そうなのです。

ネジの頭は回せるんだけど、ネジの軸が強固に筐体にねじ込んであり密着しているとネジの頭を回せても軸で折れてしまいます。

ほら、きれいに軸がねじ切れていますよね。

これは、同じことがデビルっちのたまごっちでも起きます。

幸いに右側のネジが残っているので蓋を抑えることはできます。

若干ボタンから液漏れしておりましたが、電極や基板に影響はなかったので、動作も問題ありませんでした。

動作確認

依頼者様に折れたネジ穴の再建のご希望をお聞きしたのですが、分解作業のため黄色枠のネジを外す際にさらに折れてしまう懸念があります。

そうなのです。

デビルっちのたまごっちでもそうですが、電池ボックスの蓋ネジが強固だと、本体側のネジも強固にねじ込んであるので、本体側のネジ折れることが多いです。

本体側のネジを折ってしまうと、もう取り返しのつかない事態になりますので、依頼者と相談しましてリスクを負いたくないということでこの状態までとなりました。

最後に無事な右側のネジも純正よりも細いネジでしたので新品に交換して修理完了です。


#4.おうちのでかたまごっち ゲーム王けってーせん

こちらのデカたまは、育成機ではなく完全なゲーム機でした。

症状としてうんともすんともで起動しないそうです。

同封の電池が単四のニッケル水素型の充電池でしたが、過電流事故防止の観点からも乾電池が適切なので、修理動作確認はアルカリ乾電池で実施します。

当初のお聞きしていた状態では起動しないということですが、乾電池挿入では起動しません。裏面のリセットボタンを押下すると起動はしますが途中でハングアップします。

起動同さ確認

( ,,・ω・´)ンンン?

途中でハングアップしてしまうのは、厄介かもしれません。

マイコンのプログラムの途中で読み込みできなくなっているのかもです。

Flashメモリの読み込みエラーであれば半導体故障で修理不可能となってしまいます。

では診断のため、こちらも分解しますが裏面の隠しネジのカバーがあるので、こちらも両所鵜の上こじって開きました。

まずは、基本的なところで、以下を確認します。

  1. 電池ボックスの電極端で正常に電圧が上がっているか?
  2. 基板の給電箇所で正常に電圧は上がっているか?
  3. 基板上の素子で目視問題ないか?
  4. クリスタルの発振は正常か?
  5. 電源の電解コンデンサーは問題ないか?

サクサクと確認します。

クリスタルの発振も問題ありません。発信回路のコンデンサーんぼ半田付けも溶かしなおしてみました。電解コンデンサーも取り外し容量の低下など問題ありません。

まったく改善の兆しすらありません。

基板の表面はCOBで封入されの制御ICのみとなります。

さてさて、困りましたね。

このような事態では、もう万策尽きた感があるので、基板上の素子の半田付けを全て溶かしなおしてみます。

既に目視確認はしておりますが、目に見えない汚れや腐食などで他のたまごっちで過去に改善した経験があります。

結果論になってしまいますが、そもそも仕様書もない状態での故障解析なので、ダメ元です。

あ”-!

ハングアップした箇所以降まで進みました!

やはり改善しました!

不具合の原因は分かりませんが、、、。( ̄▽ ̄;

動作確認1
動作確認2
動作確認3

うんうん、動いているっぽいです。

またこれも過去にあった経験ですが、基板上の半田を溶かすと一時的な小手先の熱で動作し、熱が冷めると元のように動かなくなることも多いです。

そこで、12時間以上時間をおき再起動してみます。

ドキドキですね。

問題ありません!

※動画は撮影していませんでした。

途中リセットなどしてみましたが問題ありません。

確たる故障原因は不明のまま、場当たりの修理作業となりましたが、この状態で返送することになりました。


潰れたネジ外しや押しボタンの接点清掃、起動不良の修理など、いろいろめじろ押しでした。

メスっちの失敗はありましたが、概ねいづれもたまごっちも遊べるようにはなりましたので、合格点はいただきます。


私の大切なおもちゃを修理していただき、本当に感謝しています。

私の乏しい日本語でこの作業をこなせるかとても心配でした。

あなたはとても親切で辛抱強く私に接してくれました。

おもちゃたちに新しい命を与えてくれてありがとうございました。

おもちゃは長く楽しむものだと思います。

ずっと大切にします。

あなたが直してくれたからこそ、これらのおもちゃは私にとってより大切なものになりました。

たまごっちで遊ぶたびに、あなたの優しさを思い出します。

本当にありがとうございました。

~依頼者のご感想より~