以前にも同じたまごっちの依頼のあった同じたまごっちで液晶のドットが切れ切れに描画されるということで修理の依頼がありました。
壁紙にユニクロの印刷があり、当時は商品名を知らなかったのですが、『いぇー!ふぁみりーイロイロ!たまごっちプラス ふぁみたまユニクロ限定ver』とのことです。
正式名称が長いので白いユニクロたまごっちと呼ぶことにします。
蓋のネジや飾りのフックに錆が上がっていますね。蓋のネジは新品に交換しましょう。
さて、液晶の具合を診ましょう。
液晶の縦横ラインがガッツリ消えていますね。
液晶のゴム電極を基板端子に導通に問題がありそうです。
では、分解して診断を続けます。
裏蓋をあけると気になる点があります。
国宝級にネジ錆びてません?
尋常でないレベルにネジ錆びちゃってます。
理由はすぐ分かりました。
ですが、この錆びたネジを回しても折れないか心配です。
コキコキ感触を確かめながらネジを外します。
無事外せましたが、うあ”-錆さびですね。
分解時の水没反応シールですが、がっつり水没していたようです。
因みに水没シールは、筐体の穴から覗いて確認できます。
矢印の奥にシールが見えます。
少しでも滲んでいる場合は水没反応ありです。
日常の生活湿気のようなものでは反応しませんので、こちらで確認できます。
所々の半田付け部分にも腐食しています。
依頼者は、このたまごっちを中古で10000円程で入手したそうですが、残念ながらこれは水没のジャンク品ですね。数百円レベルです。
先のネジが錆びていた原因は、水没が原因のようです。
しかもしばらく浸っていたのかもしれません。
基板のネジの錆がないので、表面的な水没かもと思ったのですが、がっつり水没ししばらく放置されていたのが、次の解析で判明しました。
押しボタンの基板側のパターンもすごい汚れです。
もう酷いの一言です。
このレベルでは、修理不可能という判断してもよいのですが、依頼者様からたってのお願いでしたので、診断を継続します。
接点類は、溶剤のクリーナーで洗浄します。
で、液晶の描画の原因であろうゴム電極と基板との密着点です。
すごい汚れです。
この電極部をきれいに剥がさないといけません。
インターネットで修理されている方で強引に剥がし液晶が消えちゃったという方がおられました。
液晶のガラス面を基板間の導通を担っているのが、ゴム電極はゴム素材の中に導電性の金属が仕込まれており両側からの圧で金属同士がゴム電極の内部で接続し導通するというメカニズムです。
LSIのテスト治具であるソケットに業務でも使用した経験があります。
で、もちろんですが、両側の端子と接続できるようにアライメントされており、基板側のアライメントは、筐体のケースに枠があります。
一方、ガラス側とのアライメントはそのような位置決めはしていませんので、ガラス側は決して剥がしてはいけません。
というか、そもそもこの液晶部品は、ガラス面に導電ゴム端子が付いた状態でアセンブリされるはずです。
失敗すると、終わりの世界になるので、依頼者様に剥がすというリスクの承諾を得て剥がしました。
無事成功!
かなり強固に粘着しています。
何か変です。
うっあ”-、、、なんじゃこりゃ。
汚れや何やらびっしり付着しています。
もう、完全に水に浸りまくって、湯舟じゃないけど首まで浸かっていたのですね。
しかも長風呂。
で、液晶側は、、、
だ・よ・ねー。
これだけ汚れていたのに、少なくても液晶がある箇所は描画されていたのが逆にビックリです。
手持ちのクリーナーを基板に吹き全体をブラシでゴシゴシしてきれいにします。
まぁ、ある程度は綺麗にはなります。
数回ゴシゴシします。
で、取り切れない腐食は細かいサンドペーパーでもゴシゴシしたり、ゴム側も表面をサンドペーパーでゴシゴシします。
基板側は仕上げにピカールで磨きもします。
このようなゴシゴシやコキコキを繰り返しながら、起動描画確認します。
あ”-!
起動しない! _| ̄|o チーン
うんともすんともになっています。
心臓が止まりそうになりました。ー_-;
ゴシゴシ前までは起動していたのに、ゴシゴシしたのが原因で起動しなくなってしまいました。
ですが、おおよそ原因は推測できます。
腐食が基板全体に広がっていたので、各素子の半田付けが脆くなっていたはずです。
そこにクリーナーをシコタマ吹いたので急冷されクラックが入ってしまったようです。
よくある、基板の半田付けを全て溶かしなおします。
いろいろ起きますね。
依頼者からのたってのお願いなのであきらめずに頑張ります。ᕙ( ‘ω’)ᕗ
半田の溶かしなおしを終え再起動すると、ピーっとなりました。⸜(´・∀・)_∠※
でも、まだ液晶が切れています。
ですが、ここまでよく復活できましたよね。
自分を褒めてあげたいと思います。
ご覧の皆さんもサポートのご寄付を受け付けますので、ご遠慮なく冒頭のご支援をください。
さて、どうしましょうかね。
ですが、依頼者様のお気持ちを考えるとあきらめられません。
液晶との導通状況を再確認します。
既にかなりの研磨もしているので、これ以上の研磨をすると電極のパターンが剥がれます。
とどめを刺すことになるので、拡大鏡で確認します。
す・る・と?
原因が分かります。
やみくもに研磨したりこすったりしましたが、原因は、凹凸でした。
端子の谷間にまだ汚れがびっしり詰まっています。
本来は、端子間に凹へこみがあり、そこに押し付けることで密着度が上がるのですが、凹みがフラットになっています。
極細のピンセットと拡大鏡で地道に端子間の凹みを復活させます。
あ”-こんなに汚れが詰まっています。画像は一部ですが、全端子の凹みを復活させるべく地道に休憩を入れながら作業します。
液晶側のゴム電極の表面も今度は少し粗目のサンドペーパーでゴシゴシします。
作業をすること、数時間後。。。
キタ━(゚∀゚)━! キタ━━━━
バッチリ復活しました。
なんの切れ間もなく正常に描画されています。
ただ、コントラストが強めが気がしますが、もともとだったのかどうかまでは分かりませんが、描画が復活しました。
ただし、当医院は騙されません。
時間をおくと再発することも多いので、今回もお世話を数日します。
その前に錆びたフックを研磨し錆びたネジも交換します。
できる限りの処置はしました。
あとは、経過観察で再発しないことを祈るばかりです。
ごはんに、トイレ、遊んであげること2日間。。。
快調です。
問題ありません。
これで無事修理完了としてもよいでしょう。
長かった、いゃー長かった。
フリマなどで購入する際は、動いているだけで値段を決められてしまいますが、水没有無で値段交渉できると思います。