たまごっち 潰れたネジ外し 5個
当医院ではお馴染みの初期型たまごっちの電池裏蓋の潰れたネジ外しのご依頼となります。
当初は、依頼者様ご自身で開封を試みたようで、潰れかけたところで心配になり開封を諦めご依頼がありました。
このご判断は適格でした!^^/~
そのおかげもあり、ご依頼5個のたまごっち全てにおいて、綺麗にネジ外しができました。
ご自身でとことん迄こじった後でギブアップしご相談される方も居られるのですが、どこをどうしても開封できない事例もあります。
潰れたかも?と思ったら、即開封を諦め早めに相談ください。
今回のご依頼は、ネジ外し以外にもそれぞれのたまごっちの動作確認をして何らかの故障があれば、その修理もということでした。
まず、一通りネジの潰れ具合を目視すると、3グループに分けることができました。
潰れ程度が酷いのから、良好のまでいろいろでした。
では、まず1個目のてんしっちのたまごっちから着手します。
こちらもお馴染みのてんしっちのたまごっちです。※名前くらいは詳しくなりました。
既に片側のネジはご自身で外せたとのことで、残り片方を外します。
まぁまぁ山は残っていますね。溝の残り程度から開封の望みも十分あります。
適切なサイズのドライバーで適切な外し方をすると、時間はかかりますがネジを外せます。
ご覧の通り頭が出てきました。
無事綺麗に外せました。ネジ穴のくぼみに黒色のザラザラした粉が付いていましたが、これは市販のネジ外し剤のようです。
残念ながら、たまごっちのような極小のネジには無意味です。
残存の粉を綺麗にお掃除をします。
動作確認も問題ありませんでしたが、蓋のツメの片方が折れておりました。
既に開封済み側のツメだったので、誤って蓋をこじ開けた際に折れてしまったのかもしれません。
このツメは、たまごっちの本体側のツメがすっぽり入る穴に挿入され蓋を固定する役目を負っています。接着面に小さいです。
当初、エポキシ接着剤かプラリペアで盛って補強しようかと思ったのですが、そうするとツメ穴に入らなくなってしまいます。一応接着はしておきます。
新しいネジで軽く絞めて作業完了です。
後のたまごっちで動作不良の修理不可能なたまごっちがあったので、依頼者様のご希望でそのたまごっちの蓋と交換装着することになりました。
どんどん行きましょう。では、引き続き2個目のてんしっちのたまごっちです。
では、ネジの具合を見ましょう。
こちらもまぁまぁ溝が残っていますね。こちらもネジ開け剤の痕がありますが、この程度で依頼をされた依頼者様のご判断は吉とでました。
無事綺麗に開封できました。ですが、挿入されていたボタン電池の液漏れで腐食が出ています。錆の粉が本体内部に散らばってました。
動作確認もしないといけないので、電極の錆を落とします。
ボタン電池間の電極が酷い錆です。取り外して研摩します。
腐食の影響で折れてますぅ。というか、折れています。
では、錆を研摩して綺麗にし折れた箇所は、半田付けで接続しましょう。
まず、ルーターで隅々を研摩します。やりすぎると電極の厚み薄くなりこれまたそこで折れてしますので、研摩は注意しましょう。
折れた箇所にあらかじめ半田を盛っておき、注意深く最後に接続します。
持った半田が今度は筐体の溝に入らないので、コテ先であたためで圧入します。
無事装着できました。
以上で、てんしっちのたまごっち2個は無事ネジ開封と動作確認ができました。
次に行きましょう。
名前が分からないので、緑のたまごっちと呼びます。※名前、知っている方居られたら教えてください。
ネジの具合を見ましょう。
左側のネジ山は、過去の程度と比較すると、ほぼ残っているに等しいですね。
これもサクッと開封できました。
ボタン電池の液漏れもありません。動作確認をしましたが、表面の押しボタンの反応がイマイチです。
強く押し込まないと反応しません。分解しボタンの接点をアルコールでお掃除します。
ボタンの接点と基板のパターンをアルコールで拭きます。
明らかな腐食などはないのですが、この手の感度が悪い原因は、シリコン製のボタン側に塗布された導電性の塗料の劣化で抵抗値が大きくなったせいと思われます。
全く反応しない場合は、覚悟を決めてアルミ箔で補修しますが、まだある程度感度が残っている場合は、無理に対応はしません。理由は、アルミ箔を接着剤で接着してしまうので、補修に失敗しても元も戻せないためです。
過去のこの塗布された塗料を何とかできないか検討をしたのですが、まだよい解決策がありません。
導電性の塗料Agペンがあるのですが、シリコン製のボタン側に塗っても時間をおくと剥がれてしまいます。また、円形の抵抗値のある導電性の補修部品も市販されているのですが、たまごっちのボタン先のサイズがそもそもなく、あったとしても厚みが厚すぎて貼れないということもあります。
依頼者様に事情を説明して今回は、この反応具合でとお許しをいただきました。
まぁ、指先で押し込めばいいんですけど、てんしっちのたまごっちの感度が良いので何とかできないかなぁと悩ましいですね。
5個中3個の作業が完了しました。一日目は、これにて就寝し残りは翌日対応します。
残り2個のたまごっちの作業を再開します。
同じオレンジ色のたまごっちです。※このたまごっちも名前が分かりません。誰か教えてください。
ネジの具合を確認しましょう。
既に右側のネジは開封作業中の画像ですが、無事にネジの開封はできました。
ボタン電池から液漏れしています。
が、電池ボックスの電極の錆があるので錆取りをします。
このままで錆取りをしても本体内部の錆は残ってしまうので、電極の半田を溶かし電極を外して研摩します。※本体を分解せずに表面の錆だけちょちょっと削るような手抜きはダメです。
本体は、4本のネジ止めされています。
この4本のネジも何故かきつく締められており、左下のネジがネジを回していると折れてしまいました。
ドドットイヤな汗が出ました。~~;
基板を外しネジをペンチでツマミ回転させ外しますが、過去の別のたまごっちの修理依頼で、同じように本体のネジが折れた修理可否相談がありました。依頼者は、ペンチで残ったネジ先を摘まんで回したらしくネジ穴の根本でネジがさらに折れたという、非常に残念な依頼相談ありました。ネジ穴の根本で折れると本体裏側からドリルで穴をあけネジ丸ごとを取り外すしかないです。その際の依頼者にお伝えすると、本体には傷を付けたくないとのことで埋まったネジ外しは断念されました。
話しを本件に戻します。
ネジを慎重にラジオペンチの先でツマミゆっくり慎重に回転させます。無理に力を掛けると同じように根本で折れます。
無事に折れたネジも除去できました。当医院には、電池の裏蓋のネジ以外にも本体側のネジの在庫もあるので、この折れたネジは新品に交換します。
さてさて、話しを電極の錆に戻します。
隅々をルーターで研摩するので基板から電極を外します。
この粉は、液漏れの粉ではなく電極のニッケルメッキの腐食による錆で、とても固く簡単には取れませんでした。ルーターで根気よくかつ慎重に研摩します。
研摩を行い基板に半田付けし直してやっと動作確認ができます。
外部電源で電源を給電し液晶の映りとビープ音を確認します。
液晶は、筐体に収まっていないので、導電ゴムの押し圧が足りず液晶の映り欠けがあったも大丈夫です。
うんともすんともです。基板を眺めていたのですが、先の電極の腐食同様に基板の所々にも腐食が広がっていたのは気になりますが原因を探ります。
まず、過去の知見からたまごっちのクリスタルの故障を疑います。
まさしくビンゴでした。クリスタルが発振していません。先の基板の腐食もあったので、クリスタルの交換を基板上のチップ部品の半田を再半田しておきます。
さてこれでどうでしょうか?
無事液晶も欠けありですが映り出しビープ音もし出しました。
ではでは筐体に収め再度動作確認をします。
液晶の1列に欠けがありますね。さらに表面の3つの押しボタンも全く反応しません。
うーん、、、。
液晶の欠けは導電ゴムの押し圧の足りないかもとプラシートを1枚挟めてみたのですが、改善しません。押しボタンも接点を掃除してみたのですが、これも改善しません。
押しボタンの配線パターンには腐食が広がっていたので、目の細かいサンドペーパーで軽くこすりできるだけパターンが復活するようにしました。液晶の欠けた1列も基板上のどこかの配線が腐食で切れたと思われます。
基板上の腐食断線を見つけることも修復することもかなり難しいです。特にスルーホールをなると手も足も出ません。
この状況からオレンジのたまごっちは、ネジ開けは成功したが本体の修理は不可能という判断にしました。
まぁ、電池蓋のネジが取れないので電池も液漏れしてしまうし、それが原因で基板もダメになってしまうという事態でしょう。
どのたまごっちもそうですが、保管時は電池を抜いておきましょう。
では最後のオレンジのたまごっちを診断します。
先のたまごっちと同じたまごっちです。
ネジの状況を確認します。
この程度の潰れでしたら、サクッと開封できますね。
こちらも液漏れがありますが、液漏れの青い粉がちょっぴり電極に付着している程度です。お掃除をして動作確認をします。
液晶の映りもビープ音も正常に起動し押しボタンの反応も問題ありません。
やはり液漏れの影響の大小でこれほどに差が出るかと実感して2つのオレンジのたまごっちでした。
以上で、今回は5つのたまごっちの潰れたネジ外しと動作確認の記事となります。
ネジ外しは、全数無事成功でしたが、修理は、5個中4個の成功となります。
総括すると、長期間の保管時は必ず電池を抜いておくこと、蓋のネジを外した際、少しでも削ってしまったと思ったら、深追いせずご相談をすることですね。