恋するたまごっちゅという、まぁなんともあれな商品の修理依頼がありました。
オス側とメス側を通信させることでキャラクターがキスをして愛情度が上昇し育成していくというようです。
ラブチェックというようです。
故障というのは、いくらやってもラブチェック(キス)ができないそうです。
中古で購入し初回の一度だけラブチェックできた後、まったくできなくなったそうです。
オス側とメス側を向かい合わせてDボタンを押しあうとちょうど向かい合った赤外線の送受信素子が通信しあうというメカニズムです。
ラブチェック以外の動作上は、時計設定もでき問題なく時を刻みます。このラブチェックのみ通信できないという状況です。
では、届いた状態で赤外線のチェッカーで送出のみざっくり確認します。
検出器は、38khzのパルスが出ているかどうかのみを赤いLEDの点灯で確認できるのですが、送出は両方のたまごっちで確認できました。
別途、赤外線のパターン解析治具で、この9回のH/Lパターンの送出と一致していました。
パターンのH期間の長さでどうもオスとメスの区別をしていそうで、通信のハンドシェイクパターンと思われます。
では、分解して内部の確認をします。
一応、念のためですがクリスタルの発振は確認しておきます。
時間設定もできているし、時間も問題なく進んでいるのですが問題ありませんね。
では、赤外線の通信回りを確認します。
赤外線の送受信に関わるチップ部品の半田付けを溶かしなおしてみます。
しかし、とても高密実装されており、もう通常の小手先ではあてることすらできません。
拡大鏡越しに極細の小手先で溶かしなおしをします。
残念ながら変化なしです。
ここで一旦まとめます。
先の送信は正常としても、オス、メス側両方で通信できないとう自体が解せません。
どちらかの送信が正常と仮定すると、その信号を受信した側のどちらかのラブチェックは成立しそうです。
また、両方の送受信がいづれも故障しているという事態も考えづらいです。
現状、他の恋するたまごっちゅが無いので、確認のしようがないです。
もう何かできる策が既になく、残すは赤外線の受信信号を確認します。
受信のために給電用PNPの2Aチップトランジスタのコレクタと受信信号のパターンを確認できるように基板から導線を引き出します。
これをオス側、メス側で引き出し、いづれも相方の送信信号が受信できているか確認します。
オス側引き出し
オス側オシロ波形
メス側引き出し
メス側オシロ波形※2ch側の給電波形は落ちたままなのは、キャプチャー時に配線の半田が取れたしまったためでした。
オス側、メス側との事前に解析してあった、ハンドシェイクパターンと一致していました。
LEDの送信信号が、受信モジュールでも無事受信できているようです。
さてさて、困りました。
もうここまでとなると、そもそも送信しているパターンがオカシイとか、COBモールド内の断線かIC故障などしか推測できません。
残念ながら、当医院の解析能力の限界で修理不可能という判断になりました。
たまごっちゅのほうは輸送中に奇跡が起きて直ってないかな〜と電池を入れてみ ましたがやはりそんなわけはありませんでした。
でも丁寧に確認していただいて、修理不可能とわかったことで諦めがつきました。
毎回相談のメールにも丁寧に、すぐに返してくださるし、進捗状況も細かくご連 絡くださるので安心しておまかせすることができます。壊れないことがいちばんなのですが、また壊れたときにはご相談させてくださ い。頼りにしております。
~依頼者のご感想より~