新種発見!たまごっち 基板交換修理

新種発見たまごっち

新種発見!たまごっち 基板交換修理

たまごっちの修理のご依頼がございました。

余談ですが、自分はたまごっちは全く詳しくないのですが、『新種発見たまごっち』と呼ばれるたまごっちを数個過去に拝見した経験があります。

  • 白筐体に青デザイン版
  • スケルトンイエロー版
  • スケルトングリーン版

ネットで画像検索してもたっくさんヒットするので、もしかして『新種発見たまごっち』とは、筐体色やデザインを挿すのではなく、ゲーム機内のプログラムの違いを挿すのかもしれません。

さて、今回のご依頼は、90年代に購入されたたまごっちで、ボタン電池の蓋ネジが潰れてしまい電池交換できないとのことです。メールのやりとりでは、97年からそのままとのことなので、およそ25年そのままだったとのことです。

潰れたネジの開封を含みますので、今回は有料修理となります。

さて、ネジの具合を拝見します。

ネジ

向かって右側は、ご自身んで開封できたようですが、向かって左側のネジは溝が削れております。過去の症例では、重症とまでは行きませんが、筐体にネジが強固に固着した場合は、溝が残っていても開封できなかったことがあります。油断はできません。

左側
右側

では、開封に挑戦をします。

無事開封

サクッと開封できました。

懸念されたボタン電池の液漏れもやはりしており、電極に電解液が付着しております。ですが、25年の割には、粉粉しておらず電極に電解液は付着してはおりますが、腐食にまでは至っておりませんでした。本体を開封し漏れた電解出来は、慎重に拭きとり電極を綺麗にします。

液漏れ電解液

さて、今回はネジの開封および動作確認と修理のご依頼も含まれておりますので、早速ですが動作確認をします。

残念ながら、うんともすんともでした。起動時のビープ音も鳴らなければ、液晶の描画も現れません。

こういうtきは、基板の電源とクリスタルをまずチェックします。

電源は無事基板端まで供給されているというか、安定化電源で基板に直に供給します。

で、クリスタルがやはり発振しておりません。

無発振

起動しない原因は、このクリスタルが原因と思いますが、クリスタルの故障と早計に判断してはいけません。本件と同様に事象をオルゴールメーカーの修理で勉強になりました。

発振しない原因は、そもそもクリスタルの故障もそうですが、発振回路に給電がなされていない場合もあります。基板断線やCOBに封止されているICの故障もあります。原因の切り分けをします。

まず、クリスタルを手持ちの正常品と交換してみます。

クリスタル交換

たまごっちのクリスタルは円筒シリンダー型の32.768kHzです。

交換をすると、あら!?びっくり何事もなかったかのように起動します。

32kHz発振

トリガーを掛けておりますが、若干ジッタ―も多いですね。

さて、クリスタルを交換して発振するようにはなりましたが、これでクリスタルの故障と決めつけることはできません。

本件は、液漏れの経験のある基板なので、半田付け部分のクラックや目に見えない腐食、COB内に封止されたワイヤーボンディングの剥がれとも切り分けないとイケません。

半田付けの熱で一時的に断線が接続されているのかもしれませんので、この点も詳しく調べます。※よくある、翌日にまた起動しなくなったようなやつです。

そこで、この状態で冷ますためにしばらく時間を置きます。

約6時間経過、、、、。

やはり、起動しなくなりました。当初の状態と一緒です。なので、クリスタルは白でした。

次に、基板上の半田クラックを懸念して素子の半田付けを一式しなおしておきます。

これは結果は直ぐ分かり、一式半田付けし直しても変わりませんでしたが、ここで原因は判明しました。クリスタルの足に熱を供給すると、直ぐ発振し出します。冷めると停止します。

原因は、クリスタルの足の経路にありました。

断線ワイボンの箇所

発振回路の帰還抵抗から伸びる黄色丸枠あたりのボンディングワイヤーが恐らく剥がれ断線しているようです。半田で一時的に熱を加えると繋がり発振し冷めると停止します。

COB内の断線は、もうどうしようもないですね。

と、棚をあさっていると、何と!同じ新種発見たまごっちの部品取り機があるじゃないですか!うれぴー¥(^^

左:故障基板、右:移殖基板

依頼者様と相談した結果、部品取り機の基板を移殖することで合意できました。

ただ、液晶はないので、基板のみの移殖となり、液晶モジュールの導電ゴムとの接触不良の懸念があります。

液晶の描画不良

液晶の反転したドットの上下にうっすら反転痕が出ています。

原因は、分からないのですが、液晶の描画信号は、恐らくデジタル信号なので、こんなアナログが調整ができるわけないはずもなさそうだから液晶モジュールの劣化の線が強そうです。

さてさて、これらの点を含めて依頼者様に報告をし、ご納得をいただけましたので、これにて修理完了となりました。

オリジナル特殊ネジ

今回は、ステンレス製の頭の大きいネジもご希望ということでお付けしました。

ネジ頭が大きいので潰れにくく、ネジの径も純正ネジより0.1mm太いです。しかもワッシャ付きなので、ネジの溝が潰れてもワッシャー部分で開封できる見込みがあります。

当医院の通販で2本100円で販売しております。